北朝鮮に留学する95%は中国人富裕層のドラ息子。そのほとんどが学内で暴徒化!?<アレックの朝鮮回顧録3>

金日成総合大学の寄宿舎で賭け麻雀に興じる中国人留学生たち。彼らは基本的に富裕層の子息である(筆者撮影)

 

<アレックの朝鮮回顧録3>

 北朝鮮が非常に特殊な国であるように、“在北”留学生らの立場もまた他とは違っている。彼らがどこから来て、どんな人なのか、なぜ北朝鮮に留学するのか、どのような勉強してをしているのか……といった基本的なことについてまず説明したいと思う。  現在、在北留学生は3つの大学で学んでいる。一つは、私が留学した金日成総合大学、もう一つは、(金日成主席の父の名を冠した)金亨稷師範大学である。そして2018年度からは平壌外国語大学も留学生の受け入れをスタートした。  この3つの大学は全て平壌に位置する。つまり、平壌以外の都市では現在、留学生はいない。 ‘70年代には、元山(元山農業大学)、咸興など他の都市にも留学生がいたが、何らかの理由により地方の大学から留学生は消えた。  韓国にいる留学生の数は10万人を超えたが、閉鎖的な北朝鮮において(長期の)留学生は200人に満たない。正直、留学生が意外に多いと思った読者もいるだろう。ほとんどの留学生は金日成総合大学と金亨稷師範大学におり、それぞれ100人程度。平壌外国語大学は留学プログラムが始まったばかりなだけに、数人にとどまる。  留学生は、留学生寮に住まなければならない。金日成総合大学と平壌外国語大学の留学生は大成区竜北洞の留学生宿舎に住んでいる。宿舎は金日成総合大学の正門から徒歩10分ほど行った、平壌外国語大学の隣にある。  金亨稷師範大学の留学生が住んでいるのは西城区域にあるサンシン外国人宿泊施設で、場所は大同江の西にある。東平壌にある金亨稷師範大学と宿舎は遠く離れているため、留学生はバスで通学しなければならない。平壌地下鉄は構造的な問題のために東平壌に通じていない。したがって寝坊をした場合は、タクシーに乗るはめになる。

在北中国人留学生の多くは金持ちのボンクラ2世

 さて、今回の本題に入ろう。  在北留学生は二つのカテゴリに分けられる。一つは短期の実習生。もう一つは留学生、すなわち本科(学士)、修士、博士コースの学生である。留学生は私のような博士コース数人を除き10人ずつほどのクラスに分けられ、4年制の朝鮮語学科を専攻している(唯一、博士課程でのみ、他の専攻をとることができる)。  留学生の95%以上は中国人である。ほとんどは漢族であるが、朝鮮族も何人かいた。そして大部分は、北朝鮮に近接する中国の東北三省地域出身で、丹東から来た人が多かった。  実のところ他の留学生と教員は、彼らに対して良くないイメージと固定観念を持っている。  中国人長期留学生は裕福な家庭のバックボーンがあり、同じく中国人の短期実習生らは彼らを「富二代」(中国において、一代で富を築いた富豪の子を指すことば)と呼んでいた。北朝鮮が標榜する「崇高な共産主義者」とはかけ離れたその中国人「留学生」たちが北朝鮮で学べるのは、親のコネのおかげである。彼らの親は北朝鮮でビジネスをしており、彼らは両親が築いたルートを通じて北朝鮮留学をすることになる。  しかし彼らのほとんどは北朝鮮での留学を望んでおらず、北朝鮮での生活も嫌っている。中には金日成総合大学から韓国のとある大学に転入した学生が一人いると聞いたことがあるが、ほとんどはそのまま5年以上残る(1年の朝鮮語予科と4年制学部、その後修士、博士過程)。  それでは、彼らはなぜ北朝鮮で学ぶのか? おそらく、成績が良くないからである。彼らが行けるような大学は中国にも、外国にも存在しない。そこで金持ちの親は、北朝鮮にあるコネで簡単に手配できる金日成総合大学や金亨稷師範大学への留学を強制する。彼らはまず、金亨稷師範大学で1年の朝鮮語初級「予科班」を経るが、「彼らの中から」成績が低い学生は金亨稷師範大学本科に入り、「彼らの中から」成績が高い者が、金日成総合大学に進学する。  昨今の中国社会では、「出国留学」が名誉あるものとされる。そのため、北朝鮮で名門とされている金日成総合大学や金亨稷師範大学で学ぶことは、中国国内の低ランクの大学に通うよりはマシなのである。帰国した後、彼らは得意げに「出国留学」経験を振りかざすが、どこに留学したかは言いたがらないのである。
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