専門家によると、ゆすりの実行は7つの刑務所がその中心になっているそうだ。ゆすりの対象にされるのは主に運送業者だという。
囚人のダビッド・キンテロス(通称ティヘリーリャス、46歳)は他の3人の仲間と一緒になって一日に200回電話をかけていたそうだ。相手は運送業者が主で、お金を指定の場所で支払わない場合は殺害すると脅すのである。或いは、従業員の命が危ないといった脅迫をする。彼は実際にはMS-13とLa Mara 18のメンバーでもないし、この2つの犯罪組織とは関係していなかった。それでもあたかも犯罪組織のメンバーであるかのように偽って、お金を払わない場合はこの犯罪組織の仲間が殺害すると脅していたのであった。
2018年に刑務所内のあるグループ組織はゆすりで36000ドル(389万円)を稼いでいたそうだ。このグループの誰も問題の2つの暴力組織のメンバーではなかった。(参照:「
Insight Crime」)
また興味を引くのは彼らが携帯電話を隠している場所である。警察のゆすり取締部の調査で判明したのであるが、携帯電話を腸詰のようにビニール袋の中に詰め込んで、それをトイレの排水口に隠していたそうだ。トイレで囚人が用を足して汚くなっている袋を手袋をして取り出して開けていたそうだ。汚い作業であるが稼ぎになる携帯電話の回復を考えればやらねばならないことであった。
同様に、二重壁にしてその中に隠す。或いは、身体の隙間がある場所、例えば、肛門に入れて隠す。このように、色々と彼らは知恵を絞って隠す場所をつくるのだそうだ。(参照:「
Prensa Latina」)
携帯電話が出始めの頃はまさかそれが刑務所内でゆすりの道具となることなど誰も想像しなかったであろう。
<文/白石和幸>