子育ての当事者でありながら、家事と育児を妻に任せっきりの夫へ怒りを爆発させるママもいる。
「子どもが夜泣きしているのになぜ起きないのか?」
「イライラしすぎて、じゃがいもを投げた」
こうして本心をぶつけることで、夫が家事と育児に協力的になる可能性はある。しかし、「ママなんだから、自分がしっかりしないといけない」という気持ちや、仕事をして疲れて帰宅する夫への遠慮から、「助けてほしい」の一言が伝えられないことも。こうした葛藤に悩むママは、決して少ないない。
一方で、パパたちも家庭と仕事のバランスに悩み、葛藤している。妻に任せっきりで申し訳ないが、家計のことを考えると仕事に向き合わざるをえないというパパなりのつらさがある。
試写会のスクリーンを見ているうちに、涙がこぼれた。「子どもは愛しい、でも大変すぎて離れたい」との矛盾した気持ちを抱えることのつらさが痛いほどわかるからだ。
思い出すのは、妻が産後うつになったときのこと。息子が生後3か月のころだった。妻に療養してもらいながら筆者が育児をほぼ一手に担った時期があるが、時間的にも精神的にも余裕がほぼなかった。「パパをやめたい」と何度思ったかわからない。
また子育てのため家にこもる日々が続くと、なんだか自分が社会から隔離されたかのような感覚に陥ったこともあった。
映画『ママをやめてもいいですか!?』では、子育ての様々な悩みに直面しながらも、向き合っていこうとするママ、パパたちの姿がある。この映画を見ることで、「つらいのは自分だけではないんだな」「もっと力を抜いていいんだな」など、ちょっとでも気持ちが楽になったら良い。筆者はそう感じた。
<文/薗部雄一>