株式会社
マクロミルの調査によると、フルタイムでの共働きは、若い世代の方が多い。共働き夫婦の約半数は、家事分担の理想を「夫50%、妻50%」と回答している。
ところが、実際の分担比率で最も多いのは、「夫10%、妻90%」である。妻の家事分担率の方が高い夫婦は約8割、妻が80%以上の夫婦が約半数に及ぶ。
(参照:
共働き夫婦の家事分担調査。夫婦平等という理想は進む中、現実は後退|HONOTE by マクロミル)
つまり男女平等は、口先だけで、家事の分担は、妻の約10分の1と申し訳程度に過ぎないのである。
さて、総務省の統計によると、高齢の男性と若年の男性の家事を担当する時間は、むしろ高齢者のほうが多い。高齢者は仕事を離れているとはいえ、女性については、若年者の方が高齢者よりも家事担当時間が長いことを考えると、男性の若年者が家事をしない言い訳はできない。つまり若年者は、高齢者と比較しても、ダメダメなのである。
そして、統計によると、共働き世帯での女性の家事分担率は平成18年で90%とされ、妻はフルタイムでもほぼワンオペで家事、育児を担当し、男性は殆んど担当していない。
(参照:
共働き世帯における妻の家事の負担割合の推移|総務省統計局)
個別案件を多数扱ってきた離婚弁護士としての経験からも、統計からも、若い世代について、モラ文化が改善しているとは到底言えない。
冒頭の若い夫に戻ろう。彼は、妻が子を連れて出て行った理由がわからないと言う。実家や友人から孤立させ、自宅マンションに幽閉し、ワンオペ家事、育児をさせ、経済的モラを行ってきたことについて、全く反省がないのだ。妻が出て行った上記のモラを具体的に説明したが、彼は、自己弁護の屁理屈を繰り返し、モラは
言いがかりと反論した。
その後、子どもに会っていないことを同情した妻が、面会交流を実施した。しかし夫は子どもを抱き上げず、一言声をかけただけで、子どもとの「交流」は30秒もなかった。面会交流の残りの時間はもっぱら、出て行った妻に「帰宅」を促す
説教にあてられた。説教は、自らを優越した存在と認識しているからこそ行われるものである。つまり彼は、モラ夫である。
日本のモラ文化、それによって引き起こされている日本の衰退を心から憂慮している1人として、若い世代には是非、モラ文化からの脱却を期待したい。期待したいが、楽観できる材料が見当たらない。
<文/大貫憲介 漫画/榎本まみ>