「都心ワンルームvs地方アパート」どっちが得か?
2015.02.28
不動産投資は何かとわかないことが多いもの。そこで物件選びの基本から融資、実際の投資先に至るまで、選択テーマを設定。どっちを選ぶのが得なのか、識者や現役投資家に話を聞いた。
東京都心のワンルームに投資すべきか、地方のアパートに投資すべきか。判断に苦しむこの課題から話を聞こう。
「都心ワンルームは立地さえ間違わなければ、不動産価格の上昇が見込めます。狙い目は都心5区の千代田、港、中央、新宿、渋谷。香港や台湾など海外の投資家も都心の不動産を積極的に買い付けているので、2020年の東京オリンピックに向けて上昇トレンドは継続するでしょう」(不動産コンサルタントの長嶋修氏)
「都心は賃貸需要の高さが魅力です。ワンルームの家賃は下がりにくく、空室が出てもすぐに埋まりやすいと言えます」(不動産投資コンサルタントの午堂登紀雄氏)
都心ワンルームのメリットが続いたが、当然ながらデメリットもある。
「物件価格が高いため、利回りは望めません。新築は4%くらいで、中古は6~7%くらい。地方アパートだと10%以上が普通ですから、利回りでは都心ワンルームは負けます」(長嶋氏)
さらに思わぬ落とし穴も潜んでいる。新築の都心ワンルームを購入したサラリーマン大家の森井雄一氏が、自身の失敗体験を吐露する。
「家賃収入からローン返済し、管理費などを差し引くとマイナス収支に……。都心ワンルームは利回りが低いので、管理費や共益費が高いと赤字になってしまうんです。そこをちゃんと頭に入れておくべきでした」
地方のアパートは高利回りが魅力だが、都心物件のような価格の上昇はまず見込めない。
「人口減少の影響を強く受けるのも地方物件の弱点。賃貸需要が望めない地域が多いわけです」(午堂氏)
従って、地方アパートへの投資では、物件地域の見極めが必要不可欠。
「いくら利回りが高くても賃貸需要が乏しい地域の物件だったら、家賃収入は得られず失敗を招きます」(長嶋氏)
前出・森井氏は都心ワンルームでの失敗後、地方アパートに主戦場を移し、栃木や群馬など所得した6つの物件で安定経営を継続している。どうやって地方で勝てる地域を見極めたのか。
「『見える!賃貸経営』というサイトを利用しました。同サイトを使うと、物件地域がある市町村の空室率がひと目でわかり、周辺地域との比較もできます。またワンルームやファミリーの賃貸ニーズがつかめるので、『ここはワンルームはダメだけどファミリーはいけるな』といった判断ができるんです」
物件購入後の客付では、家賃を当初1~2か月無料にするなどの取り組みを実行したそうだ。
では最終結論。都心ワンルームと地方アパートのどちらに軍配が上がるのか。長嶋氏が総評する。
「個人の投資スタイルで決めればいいでしょう。安定した賃貸運営を望むなら、都心ワンルーム。ある程度のリスクをとってもリターンを追求するなら、地方アパート。どちらを選ぶにせよ、収支判断がもっとも大切です」
◆都心ワンルーム
【メリット】
・立地によっては価格上昇が見込める
・家賃が下がりにくい
・空室が出ても埋まりやすい
・売却するときに買い手がつきやすい
【デメリット】
・価格が高い
・利回りが望めない
・管理費、修繕費の金額によってはマイナス収支に
・修繕が自分の思い通りにできない
◆地方アパート
【メリット】
・価格が激安なものがある
・高利回りが望める
・自分の思い通りに修繕できる
【デメリット】
・場所を見極めないと失敗を招く
・人口減少の影響を受けやすい
・空室が出ると埋まりにくい
【長嶋 修氏】
不動産コンサルタント。個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」を設立、現会長。マイホーム購入、不動産投資などのノウハウに幅広く精通する。著書多数
【午堂登紀雄氏】
不動産投資コンサルタント。プレミアム・インベストメント&パートナーズ代表。自身でも不動産投資を行い、国内・海外に複数の物件を所有。不動産資産は約5億円。著書多数
【森井雄一氏】
30代サラリーマン大家。2013年9月に本格的に不動産投資を開始。ハイスピードで物件を取得し、1年でキャッシュフローが月100万円突破。現在、アパート9棟72室を運営
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