相手に質問するといっても、何を質問すればよいのかという反応に接することがある。そのような反応をする人のほとんどは、指示・命令の
トップダウンのマネジメントが染みついている人といえそうだ。「ああしろ」「こうしろ」という指示・命令には慣れているので、
指示・命令をしないで質問することに慣れていないようだ。
最も簡単な質問は、指示・命令をしたうえで、「わかりましたか」と、理解の程度を聞く質問だ。これを実施していると「ほとんど、『わかりました』」としか相手が言わないので、話がはずまないことに変わりない」という感想を持つ人が、トップダウンのマネジメントが得意な人には多い。
「わかりました」としか言わなさそうな相手には、「わかりましたか」と聞く代わりに、「何か気になる点がありますか」という質問のほうがベターだ。それでも返答がない場合、「何も言わない相手がけしからん」と思ったり、
「何も言わないので気になることがないので問題ない」と思う話し手が多いが、実もいずれも当たらないことが多い。
相手に何も言わせない話し手に問題があり、
気になる点は多々あるが言っていないというケースが多いのだ。これまでトップダウンの指示・命令を繰り返したツケが、相手をそうさせてしまっている。
そのようなケースでは、「今日は、何か決めつけて、こうしろと言っているのではない」「いつもの指示・命令ではなく、虚心坦懐に意見を聞きたいと思って質問している」……というような前置きがいる。
相手に話してもらえるかはどうか、トップダウンの指示・命令によるマネジメントだけでなく、ボトムアップの質問による
リーダーシップも発揮できているかどうかを測る、バロメータなのだ。
質問:相手に話してもらうにはどうすればよいか回答:質問スキルを身につける
難しく考えることはありません。相手に話してもらうためには、質問をすればよいのです。上司が部下に質問をすれば、自然と部下は思考して返答します。
上司が部下に改善点を指示しただけでは、部下は思考しないで、右耳から左耳に聞き流してしまうかもしれません。また、聞いたとしても、そんなことはできないと内心では抵抗感を持ってしまうかもしれません。
しかし、上司が部下に改善点を質問すれば、自ずと部下は思考して、それに対して答えようとします。自分で答えた改善点には執着がわくものです。その結果、改善しようという意欲が高まり、改善の確度が上がるのです。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第169回】