小池知事は自民との関係修復で“隠れカジノ推進派”に!?
無言で会見場から出て行った小池百合子知事
両者の共通点は他にもある。アベ自民党との距離の近さだ。林市長の“変節”は、カジノ推進の急先鋒で「影の横浜市長」とも呼ばれる菅義偉官房長官(神奈川二区)の意向抜きにはありえないと見られている。
“横浜のドン”の異名を持つ藤木幸夫・横浜港運協会会長が「(カジノ誘致表明で)顔に泥を塗られた。泥を塗ったのは林さんだけど、塗らせた人がいる」と切り出し、その背後にいるカジノ推進勢力を「ハードパワー」と称した。そして「菅官房長官は安倍首相の腰巾着。安倍首相はトランプ大統領の“腰巾着”」と指摘しつつ、「俺は命を張ってでも反対する」と啖呵を切った。
トランプ大統領の大口献金者であるアデルソン会長が率いる「ラスベガス・サンズ」などの米国カジノ大手業者の意向が、米国政府トップから安倍政権に伝わり、横浜へのカジノ誘致表明となったというわけだ(筆者の過去記事
「『俺は命を張ってでも反対する』カジノ誘致と闘う覚悟を示した“横浜のドン”」参照)。
自民党を離党して都知事選で圧勝、安倍政権との対決姿勢を鮮明にした時期もあった小池知事だが、2017年の総選挙で敗北した後は二階幹事長との太いパイプを使って自民党に接近。かつての政権批判を封印し、2018年の沖縄県知事選では自公推薦候補の応援にかけつけるなどの汗をかくなど努力が実って、安倍首相からも都知事選再選のお墨付きをもらうまでに関係改善に成功した。
「都知事選で自民系候補を出さない代わりに再選後にカジノ誘致表明をする」といった密約が交わされていても、多くの人が違和感を抱かないのではないか。無言で立ち去った27日の小池知事の対応を見る限り、古賀氏の“隠れカジノ推進派説”を否定する材料は全く得られなかったのだ。
通常国会でのカジノをめぐる与野党の攻防や、天下分け目の決戦となる都知事選や総選挙でカジノが一大争点になるのかが注目される。
<取材・文/横田一>