セブン‐イレブン東大阪南上小阪店オーナー・松本実敏さんが本部からフランチャイズ契約の解除を通告された件に関して、コンビニ関連ユニオン12月27日、都内で記者会見を開いた。
松本オーナーはコンビニ関連ユニオンの組合員として、ユニオンが打ち出していた来年の元旦ストライキを実施する構えを見せていた。すると今月20日、セブン本部の法務担当者3名が松本オーナーの店を訪れ、東大阪南上小阪店へのクレームが異様に多いこと、松本オーナーのSNSでの発言が誹謗中傷にあたることの二点を理由として、10日以内に改善がなされない場合契約を解除すると通知してきた。松本オーナーが元旦ストライキは契約解除の理由であるのかと確認したところ、「それは一切関係ありません」との回答を得たという。
今年の2月、松本オーナーはセブン本部の了承を得ないまま自主的に時短営業を始め、今年話題が沸騰した一連のコンビニ問題の発端となった。ユニオン委員長の河野正史さんは「今回の契約解除通告は、元旦も休めないコンビニのあり方に多くの人から怒りの声が上がる中、最初に声を上げた松本オーナーを標的とした見せしめ行為だ」と語り、ユニオンをあげて全力で松本オーナーを守ると決意を表明した。松本オーナーも「本部に対して闘っていく」と語り、ユニオン全体で思いを一つにしていることが見て取れた。
松本オーナーは今月29日、大阪の地区事務所で双方の弁護士を交えて本部と話し合うことが決まったと発表した。あくまでもそこで円満解決を目指すつもりだが、万が一契約解除となった場合はオーナーとしての地位確認を求めてセブン‐イレブン・ジャパンを提訴する見通しだ。
まず今回の一件で誰もが気になるのは、松本オーナーの東大阪南上小阪店に対して長期にわたって異常なほど多数寄せられたクレームがどのようなものだったのか、ということだろう。その詳細については29日の話し合いの場を待つ必要があるが、今回の会見では、松本オーナーが現時点で把握している今年来たクレームの一部がどのようなものだったかということが明かされた。
「私の店の近隣には中高一貫の附属校もある大学(筆者注:近畿大学を指す)があります。学祭や文化祭、面談などがあった時、駐車場に車をずっと停められてしまう状況でした。1年半ほど前に有料駐車場になったのですが、校長先生に話を持っていくほどの問題になりました。マクドナルドなどの近隣の他店舗も同じ問題を抱えていると聞いています。
結果として『学校関係者の駐車をお断りします』との注意書きを出すことになったのですが、別々の日付でこの件に対するクレームが5件ありました。FC(筆者注:OFCとも。店舗経営相談員という役職の本部社員)からそれを知らされた際、この5件は同じ人かそれぞれ別の人かを確認させてもらおうとしたら断られました。
また、8月に人手不足などの理由で日曜定休にしたいと本部に通告した際、『なんでそんな勝手なことをさせるんだ、本部はなんとかしろ』とクレームが入ったそうです。しかし、これは私に言われたことではないので改善のしようがありません」
松本オーナーはOFCから伝えられたこれらのクレーム対応に関して、担当のOFCやDM(筆者注:ディストリクト・マネージャー。OFCの上司にあたる)との間で話し合いの場を持ち、自身のクレーム対応は十分なものだと認識しているため、調査をしてもらいたいと伝えた。本部からは調査を行うとの回答があったがその後返事はなく、松本オーナーは返事を聞きに本部を訪れたこともあった。松本オーナーはもしこれ以上返事がない場合は元旦ストライキを行うとそこで伝えたという。
そして回答期限間近の9月30日にやっと調査の結果を知らされたが、その内容は「調査しても結果は出なかったが、これで調査は打ち切らせてもらう」という、まったく支離滅裂なものだった。ここでまた連絡がつかなくなり、その次に来たのが今月20日の契約解除通告だったというのが、今回の「クレームが原因で契約解除」問題の経緯だ。
何度も述べてきたように、松本オーナーに対するクレームの全容が明らかにされるのは29日の話し合いの場ということになるのだが、ここまでの経緯を見ても本部の側が意思疎通の機会を持つことを怠り、十分に誠実な対応をしてこなかったことは明らかではないだろうか。