国家方針への姿勢が問われる国民民主党議員とチャーターメンバー
立憲民主党の枝野代表による呼びかけが、野党再編を終わらせるのは、Cという明確な国家方針に基づくからです。Cという国家方針を掲げ、そこに「このゆびとまれ」と呼びかけているのです。
それは、
Bを引き継ぐ国民民主党と、いったんはAを主導した希望の党チャーターメンバーに対し、政治理念を再考し、Cを採用するか否かの意思決定を求めるものです。再考してCを掲げるならば、どのようなかたちであれ、共闘しようということです。
国民民主党とチャーターメンバーは、この呼びかけを甘く考えるべきではありません。合流してから理念をBに戻せるとか、共産党と構成する野党ブロックを解消できるとか、都合よく考えているとすれば、野党ブロックの崩壊とともに政治的な致命傷を負うでしょう。なぜならば、それは
立憲民主党の政治的原体験を軽視し、有権者の信頼を真っ向から裏切ることになるからです。
加えて、
チャーターメンバーについては、AからCへと真逆の政治理念に転換することについて、有権者に対し明確な説明を要します。政治理念の転換は、恥でも間違いでもありません。誰にでも「
修練の結果たる心境の変化」は起こり得るからです。政治家としての問題は、そのことに沈黙し、明確な説明をしないことです。
「心境の変化」を説明しない政治家こそ「変節漢」です。
再考の結果、
Bの理念を堅持したい議員は、同志を集めて新党を結成するか、公明党に入党すべきです。自らの政治理念を有権者に訴えることを忌避すべきではありません。それこそが、民主主義を深化させる行動で、敬意を表すべきものです。
そして、
Aの理念を重要と考える議員は、ちゅうちょなく自民党に入党すべきです。自己の政治的良心に従うことは、政治家としてあるべき姿です。
枝野代表による呼びかけは、このように
再考の機会を設ける点で「踏み絵」と異なり、野党共通の理念を確立することで、野党再編の終わりの始まりとなっています。
<文/田中信一郎>