コーチング理論書やビジネススキル本をいくら読んでもスキルが上がらないのはなぜなのか?
筆者はリーダーシップスキルの解説本をたくさん読んだが、スキル発揮できない……という相談を受けることが多い。最も多いのが、コーチング理論を書籍や研修で勉強したが、コーチングができないというものだ。
しかし、考えてみれば当然だ。例えば、野球がうまくなりたいと思って、野球理論の本を読む人がいるだろうか。もちろん、中にはいるかもしれないが、多くの人は、野球の練習をするだろう。
ピアノを上手に弾けるようになりたいと思って、ピアノの解説本を読む人がいるだろうか。ほとんどの人は、ピアノを弾き始めることから始める。
にもかかわらず、リーダーシップスキル、ビジネススキル領域になると、どうして書籍を読んだり、理論を勉強することから入ってしまうのだろう。スキルを実践する場面は、身の回りに常にあるにもかかわらずだ。
それだけ、企業内研修が、理論偏重になっていると思わざるをえない。理論が不要だとは言わない。しかし、理論以上に、実践の場面でスキルを向上させることが必要だ。
それも、野球の上達のために、素振りやキャッチボールから始めるように、ピアノの上達のために、基礎的な指の動かし方を身につけることから始めるように、ビジネススキルも、コアスキルを反復演習して修得することが不可欠だ。
例えば、プレゼンテーションスキルを向上させたいと思ったとしよう。一口にプレゼンテーションスキルといっても、投影資料の作り方、表現力の発揮の仕方、話の構成の仕方、発声の仕方、動作の発揮の仕方など、さまざまなスキルが必要だ。これを一から十まで解説して、あれもこれも全て身につけてプレゼンしてくださいと言っても、出来る人は一人もいないと、20年来の演習経験をふまえて断言できる。
あれもこれも身につけようとするから、必要なことは頭ではわかっても、どう行動するか、どのように話法で発揮するかというが見当つかないということになってしまうのだ。
そこで、身につけたいスキルをパーツ分解し、コアスキルを見極める。コアスキルとは、そのコアスキルさえ身につければ、他のスキルはより容易に身につけやすくなるというスキルだ。コアスキルは単純であれば単純であるほどよい。単純であるほど、身につけやすいからだ。数回、反復演習すれば、身につく程度に分解するとよい。
ひとつのコアスキルを身につけることができたら、そのスキルを発揮するのに、あれこれ考えたり、意識したりする必要がなくなる。自然と発揮できるようになる。そうなったら、そのコアスキルに関連する次のスキルを同じように修得する。そうなると、コアスキル同士を組み合わせたり、連動させて発揮しやすくなる。実践の場面でのスキル発揮は、ほとんどがコアスキルの組み合わせや連動なので、実践で発揮しやすくなるというわけだ。
理論を学んでもスキル発揮できない
コアスキルを見極めて身につける
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2019.12.16
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