このような要素があって、現在の成長を続けるインディテックスとなっている。しかし、同社は野望の大きな企業だ。それに応えるためにファッション専門電子紙がインディテックスが成長をし続けるには今後何ができるかということを分析している。その概要を以下に紹介する。(参照:「
Modaes」)
この分析の最初に「インディテックスは成長企業から質の高い企業に移行している。そのため配当が17%上げて一株0.88ユーロ(104円)となった」と指摘している。それが意味するひとつは、もう二桁の売上成長は望めないが、その代わりに株主には配当金を増やすことにしたということである。
インディテックスが成長を続けるには変革が必要だとしている。それを4つの分野の中で実行させて行く。即ち、「ブランド」「製品」「チャンネル」「地理的市場」の4つの分野である。
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ブランド
Zaraというブランドの前に他のブランドを発展させるのは容易ではない。そこで、ZaraとZara Homeを合体させるということが発表された。この合体で販売が急激に増えるわけではないが、相乗効果を生むようになるのは確かである。
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製品
現行の8つあるブランドの中で新たな製品を採用して行くことは可能であるが、商品によってはこの8つのブランド同士が争うようになる場合も生まれて来る。そうではなく、パタゴニアのように新しく食品ブランドを創出することも可能だ。それはZara Homeのコンセプトの中に自然と組み入れることができる。
一部の専門家の間でもインディテックスが食品業界に入っていくのは自然的であるという意見がある。インディテックスであればそれを単独ででも、また第3社と提携して市場に出すこともできる。
同様にサングラス、香水、宝石の分野にもファッションとのつながりから参入できる。例えば、サングラスだとサフィロ(Safiro)、香水だとプッチュ(Puig)、宝石だとトウス(Tous)のそれぞれ製品を扱っている企業を買収するなどしてインディテックスの販売ルートに入れてしまう。
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チャネル
マルチチャンネル市場に別の新しいブランドでもって参入する。そうすることによってインディテックスの市場占有率をさらに上げることができる。
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地理的市場
中国、米国、アフリカのそれぞれ市場ではZaraブランドはかなり浸透しているが、それ以外のインディテックスのブランドの市場密度をさらに深めることが可能。
また、チェーン店の買収も早く成長の成果が出せるとして専門家は見ている。その意味で米国市場を短期で伸展させるためにGapの買収という噂も一時された。
インディテックスはZaraを始め他のブランドを含めたフランチャイズも増やしている。2011年に全店の12%がフランチャイズであったのが、現在14%にまでなっている。(参照:「
Voz Populi」
スペインの北西部で年中雨の多いメランコリーな地方から突然変異のごとく1975年に誕生したのがZaraであった。それが今ではファッション業界の世界のトップ企業に成長している。
<文/白石和幸>