その公聴会の翌日の10月24日、ビットコインは一日で40%も値上がりした。買い材料となったのは、習近平国家主席が「ブロックチェーン標準化の研究に力を入れ、国際的な発言権とルール制定権を高めなければならない」と語ったこと。世界の覇権を狙う中国は何とかして米ドルの基軸通貨体制を解体したいと考え続けてきたが、人民元では米ドルに対抗できない。そこで浮上したのが人民元建ての仮想通貨構想なのだ。
仮想通貨ならば、リブラの標榜する「安価で迅速な金融サービス」だけでなく、世界的なマネーロンダリングやテロ・犯罪収益の決済手段まで提供できてしまうため、世界の需要をある程度満たすことになるだろう。実際、リブラ開発責任者のデビッド・マーカス氏らは「中国が米国の制裁からブロックしながら新たな仮想通貨を生み出すリスクがある」と警鐘を鳴らしてきたのだ。当初、リブラは開始目標を’20年上半期としてきたが、中国がその間隙を縫ってきたらどうなるか? ’20年は「ビットコインvsスーパー人民元(人民元の仮想通貨)」という新たな局面に突入するやもしれない。
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闇株新聞】
大手証券でトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった後、独立。’10年に「闇株新聞」を創刊。’18年に休刊したが、’19年7月に復刊。有料での情報配信も行う