高校の政治経済の教科書を参考に、桜を見る会問題の説明から逃げ回る安倍首相に上手な幕の引き方を提案してみた

安倍首相と与党は何をすべきか

 まず、野党からの40日間の会期延長に応じましょう。政府与党にとっての重要議案は、ほとんど処理したはず。会期延長をして、桜を見る会問題だけでなく、すべての委員会で様々な政策課題を議論しましょう。官僚の皆さんは、予算編成の大詰めを迎えてお忙しいならば、議員同士の自由討議をしてもいいし、各地の現場を視察してもいいでしょう。国会の委員会として、各地の現場でヒアリングすれば、次年度の予算審議に役立つでしょう。  次に、桜を見る会問題で集中審議をしましょう。与党の皆さまが、予算委員会をその場にしたくないならば、国家基本政策委員会を活用すればいいのです。そこで、党首討論だけでなく、各党の議員に質疑者となってもらい、大臣・副大臣・政務官の政治家たちが答弁すればいいのです。国家基本政策委員会ならば、衆参合同での開催が当たり前ですから、衆参の重複も解消できます。  安倍首相が外遊で国会を留守にしている間は、専門家や関係者から参考人ヒアリングをしましょう。桜を見る会問題ならば、安倍昭恵夫人やご友人といわれるケータリング事業者、ホテル事業者、旅行代理事業者だけでなく、公職選挙法や行政法に通じた専門家も招き、与野党で共通認識をつくるといいでしょう。もちろん、他の委員会でも、それぞれの専門家などを招き、活発に参考人ヒアリングをするといいでしょう。  野党から要求されている資料は、憲法で規定された国政調査権を活用し、委員会として資料要求を決定しましょう。こうなったら、政府や関係者に、情報を洗いざらい出してもらいましょう。  そして、できれば早急にすべての疑念に対し、公文書などの証拠付きで徹底説明し、年内にこの問題の幕引きを図りましょう。証拠付きで徹底説明し、一切の疑念が晴れれば、安倍首相も与党の皆さまも、スッキリ気持ちよく新年を迎えられるはず。攻めの国会審議と情報公開で、野党やマスコミをギャフンと言わせましょう。  安倍首相は何の問題もないと言っているのですから、政府与党は首相の言葉を信じて、徹底した説明とその証拠さえ出せばいいのです。そうすれば、安倍首相の全面勝利で支持率が急上昇し、悲願の憲法改正も夢ではありません。安倍首相の乾坤一擲のご英断、お待ち申し上げております。 <文/田中信一郎>
たなかしんいちろう●千葉商科大学准教授、博士(政治学)。著書に著書に『政権交代が必要なのは、総理が嫌いだからじゃない―私たちが人口減少、経済成熟、気候変動に対応するために』(現代書館)、『国会質問制度の研究~質問主意書1890-2007』(日本出版ネットワーク)。また、『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』(扶桑社)では法政大の上西充子教授とともに解説を寄せている。国会・行政に関する解説をわかりやすい言葉でツイートしている。Twitter ID/@TanakaShinsyu
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