”毒親”に悩み続けるOL。子供の死より自分を優先した母 

海東さん 母親は私の死より、友達への言い分を優先させた―――。 「私が死んだかもしれないということよりも友達にどう説明するかの方が重要な母でした」と話すのは、東京都千代田区のIT系企業で働く海東さん(20代後半)。彼女はいわゆる「毒親」の元で育った。  毒親(Toxic parents)という言葉は、20世紀後半にアメリカで生まれたもの。毒親には子どもの人生を自分の思い通りにしようとする行動が見受けられる。  日本でも徐々に認知度が上がり、2019年の4月にはNHKのクローズアップ現代が毒親について放送している。

自己中な親 自分のことしか考えない

「母親が自分の安否よりも、友だちにどう説明するかを心配する」  愛知県出身の海東さん。大学卒業まで同県内で暮らした。  こんな出来事が起きたのは海東さんがまだ乳児の頃だった。手違いで母親が家から閉め出され、海東さんが自宅に一人取り残された。  幼児期の子供は自分で寝返りを打つことができない。うつ伏せになった時に窒息死の恐れが生まれてしまう。赤ちゃんが寝返りをできるようになるのは、生後7ヶ月後とのこと。厚生労働省や消費者庁も、この時期乳児がうつぶせ寝にならないように親に注意喚起をしている。  海東さんの泣き声が聞こえている間、母はどうにかして家に入る手段を探していた。が、止んだ途端に海東さんが亡くなったと思って諦めてしまった。そして悲しむよりも、周囲の人にこの出来事をどう説明するか”言い訳”を考えていたという。

親に決められた人生で”生きなさい”

 他にも、エピソードには事欠かない。小学生のころには、「母親が原因で、イジメられていた」という。原因は、母親が「安全ピンを使う名札の使用を禁止した」から。  海東さんが通っていた小学校では、安全ピン付きの名札の使用が義務付けられていた。母はそれを聞き、なぜか猛反発。「心臓付近に針を付けるなんて衣類の上からでも危険だ」とのことだ。  その結果、洋服に名札を直接縫いつけては外し、再度付けるの繰り返し。だが、母は体調を崩す時が多かったため、週2~3回は縫って貰えなかったらしい。名札を付けていないヤツということで、イジメの対象になってしまったのだ。  先生に相談したものの、具体的な解決に至ることはなかった。母には「きちんと毎日名札を縫い付けて」と何回もお願いをしたが、体調を理由に断られ続けた。安全ピンを使う許可など当然降りることはなかった。小学生に難しい家庭の事情などわかるはずもなく、嫌味を言われ続けるだけの日々を、海東さんは過ごした。  こうした母に対し、「父がとやかく言うことはありませんでした」と海東さんは話す。 「恐らく母親のヒステリーが怖かったのだと思います。また母は拗ねると極端な行動に出るので、仕事が忙しい父にはそれが負担だったのでしょう」  その後は市内の公立中学校へ進学。中学3年生の時、母に「指定校推薦の枠が多く、周りの評判も良いから、A高校に進学しなさい」と言われ、県内の進学校である私立A高校に入学。その後、母の思惑通り、大学は指定校推薦で合格し、県内の”お嬢様大学”に進学した。 「進路は親が用意するものだと思っていました。親が人生のスタンダードプランを設計し、その範囲内で選ぶものだと」
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大学に進学して実家への違和感が芽生える
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