「甘えちゃってSorry」の成功を後押ししたYouTubeの「歌ってみた」文化。AYA a.k.a. PANDAの足跡<ダメリーマン成り上がり道#22>

 自分に向いたことを、長く続ける。それが、あらゆる分野の成功者に多く見られる共通点だ。その意味で「自分に向いているものを選ぶ」ことは、成功への第一歩と言える。フィメール・ラッパーのAYA a.k.a. PANDAは、戦極MCBATTLE を主催するMC正社員から「MCバトルに出よう」と何度も誘われるも、その都度固辞。ライブと音源制作への注力を続け、のちにブレイクを果たした。

バトルに関係なく売れたアヤパンに謝りたい

AYA a.k.a. PANDAとMC正社員

AYA a.k.a. PANDA(右)とMC正社員(左)<撮影/荒熊流星>

 MC正社員の連載『ダメリーマン成り上がり道』の第22回では、かなり日が開いてしまったが前回に引き続きラッパー・AYA a.k.a. PANDAとの対談を掲載。今回はAYA a.k.a. PANDAのブレイクまでの道のりを振り返る。 ――アヤパンさんは正社員さんのMCバトルイベントに様々な形で出演していましたが、自分がバトルに出る方向には進まなかったんですね。 AYA a.k.a. PANDA (以下、AYA):「でも正社員さんは、私を出させたがってましたよね。『上手くなっていく過程を密着で追いかけるから映像撮ろうよ!』みたいに言われていました」 MC正社員(以下、正社員):「メチャクチャ強引に頼んでた(笑)。最後のほうは『本当やらないんでいいんだね!?』みたいに問い詰めてたし」 AYA:「でも、やりませんでしたね」 正社員:「やらなくてよかったよ。本当にその節はすみませんでした! アヤパンはバトルと関係ないところで売れたんだから、謝らなきゃいけないですね」 AYA:「でもバトル・ブームが来た最初の頃は、『ほら~! やっておけばよかったのに!』って言ってましたよ!」 正社員:「言ってましたね(笑)」 ――アヤパンさんはバトルより音源をやりたかったわけですね。 AYA:「キャラの問題ですかね。『私はバトルキャラじゃないかな』と思っていたので」 正社員:「向き不向きはあるもんな。音源のほうがいい人は当然いますし、こんなこと言ったらバトルをやってるラッパーに怒られそうだけど、『この人。バトルはいいけど音源は……』って人も当然いますか」 AYA:「たしかに分かれると思います」

「音源ラッパー」に「音源派」……

正社員:「そもそも『音源』と『バトル』を明確にわけて語るようになったのも、バトルのブーム以降なんですよ。昔はフツーに両方やってる人ばかりだったから。その後で『バトルMC』って呼び方が生まれて、最近は『音源ラッパー』って言い方まで見かけたし」 AYA:「ええー、マジですか! 初めて聞きました」 正社員:「音源リリースしている人はみんな音源ラッパーだから! あと『音源派』って言い方もあるよなぁ。『バトルMC』って言い方は分からなくはないけど。MCの側にはそういう意識はないと思います」 AYA:「昔はライブイベントが終わったあとにオープンマイクでフリースタイルして、そのうちバトルになって……みたいなことが今より多かったですよね。それだけバトルが楽曲と近い位置にあったし、オープンマイクは本当に誰でもオッケー、下手でもオッケーな感じでしたし。それが、フリースタイルが突出して上手い人が出てきて変わったというか」 正社員:「そうだね。あと昔はステージに立つMCもお客さんも、人数がとにかく少なかったから」 AYA:「バトルがお客さんを呼べるものとして確立したんでしょうね。だから、バトルがメインの人と音源がメインの人がわかれたのかもしれない」 正社員:「あと、ラッパーも細分化された感がある。10年前はナードなポエトリーリーディングっぽい人と、ハーコーなMCが一緒に出ているイベントもあったんだけど、最近はそれもわかれてきた。トラップをやる人はトラップをやる人だけでイベントをしてるし。あとバトルに多く出ている若いMCでは、音源はあまり作らない人も実際に出てきました」
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のし上がっていく周囲のバトルラッパー
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