飲食チェーンが中国で成功するための4つのポイント
失敗もあれば成功もある、飲食店の海外進出。日本での知名度はないものの、中国は大連に一号店をオープンさせ、その後順調に海外展開を拡大している広島県福山市の一企業『博多ラーメン味の蔵』運営のシンコー代表取締役社長、桑原靖氏に海外進出成功の秘訣を聞いた。
⇒前編はこちら(https://hbol.jp/20659)
その1:現地でのパートナー選びと人材育成
「海外では誰とパートナーを組むかが大切です。私たちの場合は、大連で当時お好み焼き店を経営していた現パートナーである姉弟と知り合いました。何度も会って、双方の理解を深め信頼関係を作り、私たちのラーメンを好きになってもらい、大連で味の蔵のラーメンを広めたいという熱意に応じるため、現地パートナーとさせてもらいました。信頼できるビジネスパートーナー選びと店長や調理長など優秀なスタッフ育成はFC展開のためには不可欠です」
その2:「誰に食べてもらいたいか?」ターゲット顧客設定
「メイン顧客である地元中国人に日本のラーメンを食べてもらうために、味の調整など葛藤や試行錯誤を繰り返しました。特に広大な中国は、地域によって味覚がバラバラで、その場所場所で好まれる味を知るための味の市場調査も繰り返してきました。それがその後の他都市展開に役に立っています」
日本と違う水や豚骨などの中、試行錯誤の末、日本と同等のスープの味を実現したかに思えた。しかし、そんな自信のスープを中国人に試飲してもらうと「塩辛い」「油っぽい」との悪評が……。こうした繰り返しを経て、中国人に受け入れられる味へ調整に調整を重ねて、日本人にも中国人にも好まれるスープへ辿り着いたという。現在、同店顧客は約8割が中国人となっている。ちなみに、同じ中国でも大連と武漢のスープの味は異なるそうだ。
その3:広すぎてもダメ適正な店舗規模
「大連1号店は、日本の店舗より大型にしたのですが、広すぎてあまりうまくいかず、私たちの店は、100平米・30坪ほどの広さが適正規模だとわかってきました。以降は、その規模で出店させています」
特に日系飲食店は、ブランドへの過信や面子もあり大型店へ固執する傾向があるが、冷静に自分たちの適正規模を知ることは重要だと語る。
地道に大連でブランド力をつけた味の蔵は、大連市内のデパートのレストラン街に出店を果たす。デパートやショッピングモールへの出店は、テナント料は高いが、集客力のものすごさを実感したという。
今年元旦にオープンした武漢1号店は、武漢初進出の『イオンモール』内にあり、初日から盛況だったそうだ。今後も、ショッピングモール戦略を進めていく計画だ。
「中国ではラーメンだけではお客さんは来てくれません。メインメニューはラーメンで、他にも日本のファミリーレストランのように老若男女が食べられるようなメニューを充実させる必要があり、最終的にはラーメンレストランような店を目指しています」
日本のラーメン店のように麺類やチャーハン、餃子などだけではなく、大連店では、鍋や天ぷら、丼ものもある。カツ丼やカレーライスはラーメンに負けない売上となっているという。メインであるラーメンを食べてもらうために他のメニューを増やす。それが、味の蔵が目指す「ラーメンレストラン」だと言える。
日本国内や東京での知名度がなくても、これらのポイントをおさえて商売をすることで中国では大盛況のラーメンレストランになっている「博多ラーメン味の蔵」。今後は、国内外でFC100店舗を目指すという。
<取材・文・撮影/我妻伊都>
【DATA】
株式会社シンコー
〒729-0104 広島県福山市松永町5丁目5番25号
http://www.shincou.com/
「博多ラーメン味の蔵」が中国で成功した4つの理由
その4:メインを売り込むためにもサイドを固める
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