増税前後を比較して、食事に変化は見られたのだろうか。軽減税率の対象となる飲食料品は、テイクアウト(持ち帰り)は8%の据え置きなのに対し、イートイン(外食)は10%の消費税がかかる。
このことから、自炊・宅配・持ち帰りの中で最も「減った」と回答した人が多かったのは「外食(減った:20.2%)」だった。反対に「増えた」が最も多かったのは「自炊(増えた:13.5%)」という結果になった。
1~2割程度の人は、外食での消費税率10%を意識して、外食から自炊に移行するなど節約志向が見られた。やはり、消費税が8%から10%へ変わったことによるライフスタイルへの影響は少なからずあるようだ。
増税後の生活が始まる前には、どのような対策をしていたのだろうか。8月の調査では、「家計の見直し」を計画していた人は13.2%だったが、実際に行った人は4.4%と、計画に移した人の割合は少なかった。
対策の中で最も多かったのは、「買い溜め」で、8月の調査では18.0%だったの対し、実際には4人に1人に当たる25.0%の人が、買い溜めを行ったという。
具体的に買ったものは「生活消耗品(24.8%)」、「お酒(14.8%)」、「家具・家電(10.5%)」と続いた。生活消耗品に至っては、当初8月の17.8%を7ポイントも上回る結果となった。
8月の調査時点では購入するつもりはなかったものの、増税前の駆け込み需要で、身の回りの必需品や飲食料品などを購入する人が多かったのかもしれない。
無駄な出費をせずに、必要なものだけ買う。買い控えの傾向が垣間見える中、どうしても不安が拭えないのは、景気悪化がこれ以上進まないかどうかだろう。
内閣府が発表する景気動向指数(景気の把握や将来の予想の指標)についても、今年5月時点では基調判断が「下げ止まり」だったのに対し、8月からは「悪化」へ下方修正されている。
消費税増税や10月に相次いだ大雨や台風といった天災の影響で、消費の鈍化傾向が続けば、景気動向に暗雲が立ち込めるだろう。
スマホ決済アプリに代表されるキャッシュレス化の伸長は、消費税増税の恩恵を受けたものの、消費の冷え込みについてはまだまだ課題が残る状況だ。
<文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。