また、企業業績以上に一般のビジネスパーソンからすると五輪期間中の働き方がどうなるかが気になる人も少なくないだろう。
しかし、企業の半数以上が
「通常どおりの勤務」(51.9%)と回答している。で、
「現時点で検討していない」(25.9%)がその次に来ていることを考えても、
77.8%が「特に何もしない」としている。
開催地の
東京ですら3社に1社が「通常どおりの勤務」(35.2%)と回答しているのも驚く。競技開催時の混雑が予想されるにも関わらず、「五輪期間中の休暇を設定」や、時差通勤など「出社時間の変更」を検討しているのは1割超程度だったのだ。
混乱を回避することを検討していた企業からは、、「五輪開催中、東京で予定している展示会(イベント)を前倒しする」(男子服卸売、愛知県)や「五輪期間に本来であれば開催する会議等についてはビデオ会議で対応」(建設機械器具賃貸、北海道)などの声があった。
「オリンピックの経済効果」への不信感、6年前より大幅増
さらに面白い結果がある。
「日本の持続的な経済成長のために、東京五輪開催は有効と思うか」という設問に対する回答だ。
この問いにはは半数近くの46.8%は「(有効だと)思う」と回答し、「(有効だと)思わない」は27.0%となった。しかし、これを東京五輪の開催が決定した直後に実施した2013年10月に行った調査の回答結果と比較すると面白いことがわかるのだ。
2013年調査と比べると
「(有効だと)思う」が18.1ポイント減少した一方で、
「(有効だと)思わない」は13.8ポイント増加という結果になったのである。
この図版だとわかりにくいが、下が2013年調査、上が今回調査の結果である。
帝国データバンク調査より
同調査では、”企業からは、「
最近、多くの経営層との会話では五輪開催後のマイナス景気が話題となる」(文房具・事務用品卸売、東京都)といった
東京五輪終了後の景気後退を危惧する意見や「
一時的な成長は当然あるが、前回のようなインフラ整備等のレガシーはそれほど見込めない」(一般電気工事、新潟県)など、五輪開催による経済効果は一時的と想定しており、
持続的な経済成長には懐疑的な声もあげられた”と報告されていた。
ろくな猛暑対策もない状態で突き進んだ結果、会場変更などの混乱を招いた点や、「低コスト五輪」と謳っていたものの蓋を開ければどんどん出費が嵩んでいる点などが不安要素を増したのではないだろうか。
もはや、オリンピックを盛り上げようと必死なのは、利権に絡んだ連中ばかり。企業や一般市民は、
大きな負の遺産を背負うことになるかもしれないイベントにうんざりしているというのが本当なのではないだろうか。
参照:
帝国データバンク
<文/HBO取材班>