地方創生にゆるく携わる人を増やす。マグマシティ・鹿児島市の取り組みとは

「天文館」の活気を再び取り戻すための取り組み

天文館 いづろ商店街振興組合の青年会長である有馬明治氏は、100年以上続く老舗の宝石店「有馬明治堂」を天文館いづろ通り沿いで営んでいる。  天文館は、様々な店が立ち並ぶ歓楽街として知られ、老若男女問わず親しまれているアーケード商店街。しかし、近年は鹿児島中央駅周辺で大型商業施設がオープンしたことにより、人の流れが分散し、かつての勢いに陰りが見え始めている。  このような状況を少しでも改善し、商店街の活性化に向けて活動をしていると有馬氏は言う。 「鹿児島の祇園祭『おぎおんさぁ』や『おはら祭』など、天文館を中心とした催事は盛り上がりを見せるが、これからは色々な年代の人とどう関わっていくか、また、鹿児島の伝統文化をいかに活用していくかが大事になってくる。お店の人が講師となり、お客様に知識や情報などを無料で教える『まちゼミ』や、学校の枠を超えて交流を図る『天文館キャンパス』、地域ぐるみで子供を育てる伝統的な『郷中教育』など、地域密着型の商店街にしていこうと取り組みを行っている」  地元商店街への想いや、もっと天文館を盛り上げていこうとする気概を感じる。小さな行いがやがて、商店街の活気を取り戻すきっかけになるかもしれない。  今回、鹿児島の現地フィールドワークを通して感じたのは、どの事例を見ても「地元への愛着」をすごく持った人が多く集まっていること。現状に満足せず、どうしたら地域に貢献して、もっと興味を持ってもらい、好きになってもらえるか。このように考えて行動に移している様子がひしひしと伝わってきた。  もし筆者が、鹿児島市のまちづくりに「関わりしろ」を求めるなら、どの事例においても何らかの形で携われそうだ。のきさき市やLAGBAG MUSIC TOGOでDJとして関わる。バカンスで簡単なダンスステップを教える。天文館でフォトスナップを撮る……。  鹿児島市を盛り上げたいという想いが一致すれば、関係人口としてどう地元の人と関われば良いかが見えてくる。今後関係人口に注目が集まる中で、今回の事例が参考になれば幸いだ。 <取材・文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。
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