では、一般の外国人の目に旭日旗はどのように映っているのか? 在日外国人に話を聞いてみると……。
「日本の人たちがどう捉えているかはわかりませんが、
日本軍やアジアを支配していた歴史のシンボルだという印象です。南軍旗は黒人差別の象徴として公的な場所での使用が厳しくなっていますが、それを国際的な大会で、しかも政府が公式に容認するというのはちょっと考えられません。いくら『そういう意味合いじゃないんだ』と主張しても、
右翼団体など実際に使っている人たちを見れば、政治的な意図があるのは明らかです。これを無関係だというのは無茶だと思います」(アメリカ人・男性・38歳)
すでにお読みいただいたとおり、前出の記事でも旭日旗が企業広告などで使われていることについては触れられている。問題となっているのは、そのうえで
どのような意図をもって使用されているかだ。
記事で比較されている
南軍旗もKKKや極右団体が使ってきたことで、より人種差別的な意味合いが強くなってきた。旭日旗の使用に固執することで、より印象が悪化していることは否めない。
「そもそも、国際大会では国旗を振って応援すればいいのに、
これだけ抗議や疑問の声が挙がっている旗をあえて使う理由がわかりません。
嫌がらせをしたり、別な意図があると思われても仕方ないでしょう。本来の目的であるスポーツを楽しむことから離れているような気がします」(ノルウェー人・女性・33歳)
いくら建前では関係ないと言っても、事実として政治的な意味合いがあると受け止める外国人が多い以上、無理矢理押しとおすのは難しいだろう。
「
なんの意図もありませんなんてのは嘘っぱちだよ。それまでの歴史やどう使われてきたかを見れば、政治的な意味合いは明らかじゃないか。個人的には広告だらけになった五輪自体観る気にならないけど、どんな“宣伝効果”があるかよく考えたほうがいいよ」(アメリカ人・男性・42歳)
ウィーン芸術展への公認撤回など、ただでさえ海外で日本の歴史修正主義が取沙汰されている昨今。全世界が注目するなか、旭日旗が振られる様子は、一部の人々には美しい光景なのかもしれない。しかし、多くの外国人の目には、まったく違う映り方をすることをよく知っておくべきだ。(参照:
REUTERS)
<取材・文・訳/林 泰人>