「微表情の犯罪者検知率はたったの1%」これでは使えないのか?
悪意検知率90%のツールは何人誤検知するか?
悪意発見器が「おかしい」と検知した利用者の約0.9%(9/1,008人)が真におかしかった、つまり、本当の悪意がある犯罪者ということになります。こうした誤検知問題は、がん検診やドーピング検査でもおなじみです。検知対象者が少ないと起きてしまうのです。
こうした弱点を認識した上で微表情の使いどころや使うか使わないかを議論するべきだと思います。
誤検知された普通の人が被るコストと犯罪者を捕まえたときのベネフイットと比べたとき、社会的な幸福は向上するでしょうか。それとも低下するでしょうか。起きる犯罪のレベルによって結論は変わるでしょう。
ハイジャックは爆発物を用いたテロなど、ひとたび発生すれば多大な被害が生じます。そんな場合、犯罪予備軍を捕まえるベネフイットはコストよりもずっと大きくなるでしょう。
完璧なツールなど存在しない
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16・19」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。
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