巷の「心理テクニック本」はなぜ使えない!? 効果を出すのに足りない3つの基本原則とは?

 ビジネスで使える心理術を紹介する当連載。今回は、何十とある心理テクニックを覚えることなく、その核となる「3つの基本原則」を理解することで、自然と心理テクニックを使って仕事の成果を高めることができる方法について解説する。

情報過多で実践に至らない

脳のイメージ

photo via Pexels

 仕事で成果を上げるために、心理学を学ぼうとする人は多い。書店のビジネスコーナーに行けば、何十冊ものビジネスで使える心理学の本があり、中を見ると、研究や経験によって裏打ちされた心理テクニックが何十個も載っている。  そういう本を読んで心理テクニックの知識を持っている人と出会うことは多いのだが、それを仕事でちゃんと使えている人は少ない。もちろん、本人の意思力の問題もあるが、同時に本にも問題があるのではないだろうか。  私も仕事柄、そのような本を読むことが多く、素晴らしい本に出会うことが多い。しかし、そのような本の中に潜んでいる問題点から、心理テクニックを使える人が少ない理由がわかってきた。  それが、「心理テクニックの本の情報過多」と「信頼関係不足」だ。  心理テクニックの本は百科事典や用語集のような本が多く、中には読者が十分に満足できるだけの心理テクニックの情報が載っているのだが、逆に多すぎて読み終わった頃には、「結局、私はどうしたらいいんだろう?」という状態に陥ってしまう。選択肢が多いほど、選べなくなってしまうことは、「ジャムの法則」と呼ばれている。  読者の抱えるひとつの課題に対して、あらゆる解決策が提案されており、結局どれを選択したらいいのかわからなくなっているのだ。

小手先の技術が信頼関係を損なう

 また、心理学のテクニックだけ覚えてしまうと、その根底にある「信頼関係」のケアをしなくなってしまう。  あらゆる心理テクニックは、信頼関係をベースに効果を発揮する。相手を自分の思い通りにしたいという、“ジャイアニズム”で、心理テクニックを使うようなダークサイドに堕ちてしまった人は、相手と信頼関係を構築することなく心理テクニックを使おうとしまう。  そして本来は効果を発揮するはずの心理テクニックもまったく効果を発揮しなくなってしまう。
次のページ
「心理テクニック」を使う上で欠かせない「3つの基本原則」
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会