それを指摘したのは上院議員ロドリゴ・ララだ。彼の説明によると、2つの応札で一方がもう一方よりも高い価格で見積もるというのが事前に決められていたということだ。結局、双方の応札の見積もりの差はおよそ3000億ペソ(96億円)の差になっていた。
しかも高い方の見積もりをしたコンソーシアムは無効になることが決まっていたということなのだ。というのは、メトロ・デ・ボゴターを指揮したのはカルロス・スリムという人物である点だ。彼はパナマの検察と合意には至ったものの、汚職の前科がある人間であり、汚職の前科がある人物の指揮するコンソーシアムは落札から外されるべきだという理由からだ。因みに、カルロス・スリムはメキシコ人でフォーブス世界富豪者番付5位にランキングされている。(参照:「
RCN RADIO」)
この受注の正式署名は12月に予定されており、工事は2020年4月から着工して完成は2025年末に予定されている。
今回のような事例から察して、2007年にパナマ運河の拡張工事をスペインのゼネコンが受注したが、今それをやるということになっていれば中国企業が受注する可能性が非常に高いように思える。現在パナマ運河の最大の顧客は中国で、しかも両国の間で国交も樹立したからだ。
<文/白石和幸>