「国民全員が2%節制したら、消費が減る。政府はどう考えているのだろう」
消費増税の1番の懸念は、景気が落ち込むことだ。製品の値段が上がれば、私たち消費者はあまり物を買わなくなるだろう。そのため、何らかの対策を打つ必要がある。それについて、30代の女性からは、
「10%に増税したんだから少しは最低賃金値上げするとか対策してほしい。お給料上がらなければ購入意欲は出てこない」という意見が寄せられた。
実は、10月1日の消費増税に伴い、最低賃金も上げられている。全国平均で前年度比3.1%と、消費増税分の「3%」とほぼだけ引き上げられたのだ。しかし最低賃金で働いている人以外は、すぐに給与が上がるわけではない。増税したのに給与が増えなければ、消費の落ち込みは避けられないだろう。
多くの人が
「消費税上がっても給料が上がらないからその分どこかで節制をするしかない。国民全員が2%節制したら、消費が減る。そこを政府はどう考えているんだろう」(50代女性)という疑問を抱いているのではないか。
今回の消費増税ではほとんどの商品の消費税率が10%に引き上げられるが、新聞や飲食料品の消費税率は8%に据え置かれる。これを軽減税率というが、話をややこしくしているのが「テイクアウト・持ち帰り」問題と、「キャッシュレス還元」問題である。
前者は、食品を購入した場合にテイクアウトないし持ち帰りをするなら8%の軽減税率が適用されるのに対し、その場で食べる場合には「外食」として扱われ、軽減税率が適用されないという問題だ。
「ファストフードや安いファミレスで食べるのは消費税10%で、デパ地下の高級弁当が8%って分類されるのはおかしい。店内で食べるのが贅沢で持ち帰るのが質素なわけではない」(20代女性)という意見があるが、その通りだろう。
「キャッシュレス還元」については、
「ポイントで還元は良いことだと思いますが、カード・スマホ決済をしない人がいる以上、不公平な還元だと思います」(40代女性)などの意見がある。どういうことかというと、キャッシュレス(クレジットカードやスマホ決済)などを利用した場合に、購入価格の2%か5%のポイント還元が受けられるのだ。お得感があるが、現金を使う人にとっては損した気持ちになる。特に高齢者などキャッシュレスなどに慣れていない層には可哀想だ、という意見もある。
こんなにややこしい「軽減税率」だが、そもそも必要あるのか、という話もある。フランスやイギリスでは10%以上の軽減が適用されるが、日本ではたった2%だ。これならば軽減税率を導入するコスト(税務署や企業、小売店などが負担するもの)の方が結局大きくなってしまうかもしれない。政府による増税という決断、そのツケはやっぱり私たちに回ってくるようだ……。
<文/田中宏明>