そして、「
同意+転換」は、結語転換話法とも呼んでいますが、結語を展開して誘導する方法です。例えば、「性能は高いことはわかっているが、価格が高い」というように「AだけれどもBだ」という相手の話に対して、「価格が高いと思っているが、性能が高いことを評価しているのですね」というように、「BだけれどもA」だというように結語転換するのです。
相手が「そうとも言える」というような反応を示したのであれば、そのあとは、「性能が高いこと」にフォーカスして話を進めやすくなります。日本語は結論が結語に来ますので、相手の「価格が高い」結語を、「性能が高い」と言う結語に転換して、相手が強い拒否反応を示さなければ、自分が示した結語の「性能が高い」という点に誘導するわけです。
相手が「AだけれどもBだ」という構文ではなく、「とにかく価格が高い」というように、「Bだ」「Bだ」というように言い張ってきたときには、すぐには結語転換の話法は使えません。
この場合は、「価格が高い」と言い張っている人に対して、「価格が高いことが気がかりなのですね」と同意した上で、「何か、少しでも評価してくださっている点はありますか?」というように、価格以外の点で評価している点を聞きます。
それに対して相手が、例えば「性能がよいことはわかっている」というように言及してきたら、「価格が高いことが気がかりとはいえ、性能がよいことをご理解いただいているのですね」と「BだけれどもA」の結語転換後の構文を示すのです。
7つの誘導話法は、紹介してきた順に、小さい誘導幅から大きい誘導幅へ誘導することができる方法です。見解の相違が大きそうだったら、紹介してきた順に繰り出すことがおすすめです。見解の相違が大きかったら、いきなり大きく誘導するのではなく、小刻みに誘導していった方が決裂するリスクが少ないからです。
もちろん、7つの誘導話法をひとつずつ順番に繰り出すと言うことではなく、相手やトピックスに応じて使いやすいと思うものをいくつか繰り出すというイメージです。
質問:自分の考え方ををどのように伝えればよいか
相手の考え方を聞き、その考え方にリアクションをしたうえで、自分の考え方を伝えるわけですが、相手の考え方をふまえて自分の考え方を伝えるには、どのような話法を繰り出せばよいのでしょうか。
回答:誘導話法を繰り出す
7つの誘導話法を間にはさんで自分の考えを伝えると、相手を巻き込みやすくなります。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第158回】