オーディオブックの意外な効能。鍵は「2倍速」で聴くこと

2倍速で聞いてイメージ力を高める

山口氏

本連載でお馴染みのモチベーションファクター株式会社代表取締役社長・山口 博氏

山口:「確かに太田さんの薦めで実施してみると、よくわかりました。1倍速のあと1.5倍速で聞くと、速くて聞き取れないという印象を持つのですが、2倍速でわずか1分聞いた後、1.5倍速で聞くと聞き取れるようになっている。これは聞き取る実践スキルの、それもわずか1分間でできる、能力開発手法ですね。この連載のテーマである分解スキル反復演習の一手法だと思います」 太田:「そうなんです。普段から2倍速でオーディオブックを聞いていると、通常の人との会話がゆっくり聞こえます。すると今までは聞くことに思考回路を使っていたのが、状況を把握する、行間を読む、表情を読む、そしてその後を予測して回答するというフェーズに思考回路を割くことができるようになります」 山口:「イメージ力、リスニング力がまさに経営に役立っているという実例をお聞かせいただきました。実にポジティブに能力開発に取り組んでいらっしゃることがよくわかりました。太田さんにとって、モチベーションを高く維持する原動力は何ですか?」 太田:「学生時代にバックパッカーとして世界中を巡っていた影響が大きいですね。強盗に手を切られたことも、8歳の子供が生活するために一生懸命に騙そうとすることも、身分制度の違いから棍棒で殴られ続けている人を目の当たりにしたことも、今思えば全てが糧になって活きています。ここを話し出すと尽きないですが、日本という素晴らしい環境で仕事が出来ていることは幸せです」 <対談を終えて>  オーディオブックを2倍速で聞いて、「聞く」というパーツスキルを高める。これができると、意状況把握、予測、回答といった、次のステップのスキル発揮に注力することができる……。太田さんのこの考え方は、まさにスキルをパーツ分解して、コアスキルを見極めて、それを反復演習により修得し、スキルの連動や組み合わせを容易にする、分解スキル反復演習そのものだ。太田さんはその実践者なのだ。(モチベーションファクター株式会社・山口 博) 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第155回】
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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