魅力があるぶんリスクもあるため、いつ、どうやってトレードするかの戦略が高金利通貨投資では重要になる。
「スワップ狙いの投資をするなら、
『今後、通貨ペアの金利がどうなるのか』という部分に着目することも重要です。例えば新興国の金利が5%で、米金利は2.5%だとします。今後、その新興国の金利は上がって金利差が拡大するのか、といった視点です。新興国の高金利通貨はリスクが高いぶん、主要国通貨以上にリスク管理が重要になります。そのためには
『一度に買わない』『ポジションを持ちすぎない』『レバレッジをかけすぎない』『ロスカットを置く』などが重要です」
前出の野村氏も、投資する際は政情を分析することの重要さを説く。
「オススメ順は、
メキシコペソ、南アフリカランド、トルコリラの順番でしょう。メキシコは対米貿易は黒字であり、全体でも貿易黒字になりつつあり、産油国でもあります。アメリカの景気がよくなれば追随してよくなります。南アフリカは中国の景気動向に左右されますが、混乱している政治の状況がよくなれば好転する可能性はあります。トルコも諸問題があるものの、国として立ち行かなくなっているわけではありませんし、貿易赤字なので金利は高いままでしょう。高金利通貨は多少下落するものと割り切り、短期的に損はするかもしれませんが長期のスパンで売買するのがいいでしょうね。言うなれば、駐車場を経営するようなもの。一度購入すれば日々の駐車料金が入ってくる感覚です。実際に売買するときは、
各国の指標やニュースを見て情報収集しましょう」
景気が底を打ってよくなる局面や、リスクオンのタイミングでは逆に積極的に買われやすく、大きく上昇し一発逆転できるのが新興国通貨の魅力だ。
●消費者物価指数……対象となる商品の物価の上下落を表したもの。インフレかどうかを判断する材料で、インフレ傾向にあれば金利が上がりやすい
●貿易損益……輸出入の合計数値。特に新興国では外国貿易による国内経済の影響が大きいので、輸入超過だと為替レートが下がりやすい
●GDP成長率……GDP成長率が高ければ経済力の上昇を意味するので、その国の通貨は買われやすくなる。しかし、最近は新興国でも数%台が多い
●人口動態……国の人口の増減を表す指標。人口が増えれば国内需要が高まり、経済は成長すると考えられ、買いの要因になる
【八代和也氏】
マネースクエア・シニアアナリスト。豪ドルやNZドル、メキシコペソなどを中心に分析。レポート執筆、M2TV出演、セミナー講師を務める
【野村雅道氏】
FX湘南投資グループ代表。東京銀行(現三菱UFJ銀行)のニューヨーク支店にて国際投資業務、外貨資金業務に従事。国際経済のコメンテイターとして活躍中
― 新興国通貨で一発逆転 ―