10月から始まる幼保無償化、浮いた保育料で砂場セットを寄付。広がる支援の輪。

室内でも楽しく遊べるよう、砂場セットをプレゼント

 お子さんは3歳の4月に認可保育所への転園がかなった。入園が決まると、それまで自分ごとだった待機児童問題が他人ごとになりやすいが、りくボーさんは区が抱える子育て問題への意識を持ち続けた。  保育所の環境の向上のために自分にできることは何かを考え、思いついたのが、地域の新設園への寄付だった。夫に話したところ、すぐに賛同してくれた。  りくボーさんは事業者に寄付を申し出た。園側と話し合った結果、寄付金で砂場セットを購入してもらうことになった。園児たちには大好評だった。 「『遊ぶことが大好きな子どもたちなので、大喜びしています』と、園長先生はじめスタッフのみなさんから感謝の言葉をいただきました。保育園には園庭がありませんが、真夏日には特に、毎日近くの公園へお散歩に行けるわけではありません。室内で遊べる砂場セットは役立ってくれたようです」  この体験をりくボーさんは8月下旬、noteTwitterで発信。 「私は10月から始まる保育無償化分を、新設保育園に寄付しました。1人でも、2人でも、共感してバトンを回してくれる方がいることを願い、経緯を書きます。」  約150件リツイートされたほか、「自分も支援したい」「寄付するにはどうしたらいいですか?」という前向きなコメントが相次いだ。

ひとりひとりの行動が「みんなで子育てする」意識を高めていく

 たったひとりの活動がいま、「自分に何ができるか」を問いかけ、支援の輪を広げつつある。  りくボーさんの行動の原動力は、「すべての子どもが良い保育を受けられるのが当たり前の社会にしたい」という願いだ。 「保育は行政の役割ですが、保護者や地域の人もそれぞれの事情に応じて、できることがあると思うんです。ひとりひとりの行動を通じて、地域全体に『みんなで子どもを育てていく』という意識が共有されていくといいなと思っています」  それぞれが、できる範囲でできる貢献をする。貢献の仕方は、必ずしも保育園への寄付という形でなくても構わない。例えば、玩具や絵本が少ない保育園や幼稚園に子どもが卒業した絵本を寄付する。地域の子ども食堂の支援をする。それぞれが「自分ができること」を考えてみよう。 <取材・文/薗部雄一>
1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。
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