(6)時短営業をした場合に違約金を1700万円請求すると通告したのは優越的地位の濫用である
これは具体的に言えば今年2月、大阪のセブン‐イレブン南上小阪店のオーナー・松本実敏さんにセブン本部が突き付けた「処分」だ。今回の集団申告にも参加している松本さんは、2019年2月に人手不足を理由に時短営業を始めた。
するとたちまち本部の担当者が店に来て、
24時間営業をやめなければ契約解除であると告げられ、それでも時短営業を7日間続けると1700万円の違約金を請求するとまで通告したのだ。しかしその後この件がメディアによって大きく報じられると、本部は態度を大きく軟化させ、オーナーヘルプ制度による支援を提案した。しかし松本さんはその条件に納得できず、今も時短営業を続けている。
今年の3月、オーナーらとの団体交渉にコンビニ本部が応じなかったことを不当労働行為であるとする申し立てに対し、厚生労働省の中央労働委員会が「オーナーは事業主であり、労働者ではない」との見解を示した。
だが、
自らの判断で店を7日間閉めただけで1700万円もの違約金を請求されるコンビニオーナーが本部に対して圧倒的に不利な立場に立たされているのは事実であり、それを救済できずして何が労働委員会だろうか?
このような状況で、
実態としては「労働者」ともいえるようなオーナーらの地位の向上、待遇の改善のために取り組めるのは、労働者自身による運動体である労働組合のみだ。このような時代の要請に応じて登場してきたのがコンビニ関連ユニオンだといえよう。
集団申告の直前に行われた記者会見では、その他のオーナーからも、独占禁止法違反だと思われるセブン本部の行為について具体的な話が飛び出した。会見は弁護士会館のロビーで開かれたささやかなものだったが、どのオーナーも怒りをあらわにしてこのような本部の理不尽な対応を語り、落ち着いた会館の一角には緊迫した空気が漂った。現場にいたとある組合関係者は
「オーナーの8割はうつ病なのではないか。そこまで追い詰められた状況でなんとかやっている」と話した。
記者会見を終え、オーナーらはすぐ隣にある公取委の建物へと入っていった。そして2時間後、集団申告を終えて出てきたそれぞれのオーナーの顔には笑みが浮かんでいた。同ユニオン書記長の鎌倉さんは
「調査は間違いなくするということだった。排除を出すか出さないかの判断はこれからだが、手ごたえはあった」と話した。
申告が終わるとオーナーらは東京・四ツ谷のセブン‐イレブン・ジャパン本社へ向かい、本部に対して要求書と、24時間営業が義務化された現状の見直しを呼びかけて集めた署名約15000筆の提出を行った。現在も
chang.orgで署名を募っている。