若年層の買い物意識が変化し、本物志向が求められる時代にヒット商品を生むためにはどのような工夫をすれば良いのだろうか。中村氏は本麒麟を例に、ヒット商品を生むための3つの要素について説明した。
「まず、消費者の失敗したくない思いや本物志向に応えるために、品質やうまさを担保することが前提にあるでしょう。そして、メーカー目線の押し付けがましい広告ではなく心が動かされるような広告を、点ではなく線にして年に何回も露出させてお客様にブランドイメージの醸成を図ること。さらに、広告と連動したリアルな場での購買想起をを醸成することで、お客様と商品との接点を作ることです」
モノの品質、広告とPRの量と質、広告と連動したリアルな接点を作る購買想起。これら3つの要素を踏まえた上での商品づくりが必要になってきそうだ。
次いで、2019年10月より消費税率10%の引き上げが行われるのに伴い、増税後も長く支持される商品づくりについて中村氏は次のように語った。
「増税により節約志向が今まで以上に高まると想定しています。価格以上の満足感や期待値を超えるものをお客様へ提供しないと長く支持されないでしょう。『これでいいではなく、これがいい』。このように思ってもらえるブランド力が必要。いつも選ばれているブランドが、増税後も変わらず選ばれるのではないでしょうか。また、ビール類に比べるとアルコール度数が幅広いチューハイ等のRTD飲料も手軽に酔えるという観点から伸びてくると思います」
消費税が10%に引き上げられれば、一時的な消費の冷え込みは避けられないのかもしれない。節約志向が顕著になる時期だからこそ、価格以上のベネフィットや満足感を得られるブランドが支持されるのではないだろうか。
マーケティングでは、購入している数を表す「間口」と、リピート頻度を表す「奥行き」という言葉がある。これからの時代は、毎日手に取ってもらえるような奥行きが大切で、いかにブランドのファンになってもらえるかが大事になってくるだろう。
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。