10日19時頃のイオン(館山市在住男性提供)
11日の館山市のセブンイレブン(館山市在住男性提供)
停電だけではない。物資も深刻な状況だ。前出の北口さんは語る。
「イオンは昨日再開しましたが生鮮食品はなく、カップラーメンやお菓子、飲み物は売り切れ。レジも会計まで1時間掛かります。昨日行きましたが、諦めて帰って来ました。おどやという市内に数店あるスーパーは一番大きい店舗は月曜日から営業してましたが、17時で早仕舞いしたそうです。普段は22時まで営業してます。今日は品揃えは充実してて混んでましたけど買い物出来ました。ホームセンターのカインズホームは昨日14時から営業していたそうで、大行列だったといいますが、店内は真っ暗だったようです。
報道は君津や市原のゴルフ練習場とかですか? インパクトがあってテレビ映えするからでしょうが、もっと他のところの被害もきちんと報じて欲しいと思います」
それにしてもなぜこんなにまで復旧が遅れているのだろうか? 吉田さんは次のように推測する。
「台風の風の強さが想定以上に強く、市内の至る所で電線や電話線が切れていました。君津から館山を結ぶ館山自動車道が10日12時まで続き、一般道しか通行できず、もともと三方を海に囲まれて物流の弱い地域だったのが、交通網が遮断されたことで文字通り陸の孤島になってしまったのかと……」
10日の館山市(館山市在住男性提供)
大きな被害を受けたのは伊豆諸島も同様だ。停電に断水、建物の被害も甚大だが、ほとんどのメディアは報じていない。
こうした被害を報じずに、メディアは何をしていたのかというと、安倍新内閣の人事を「速報」で流していたのである。
そのメディアの姿勢にも呆れるが、大きな傷痕を残す大災害になったにも関わらず、自らの権力を誇示するかのような人事ゲームの組閣に邁進していた安倍政権は言語道断だろう。
さらにいえば、今回の新内閣、失言議員などが多数復権するという勝手放題。記者会見で憲法改正について触れ、「困難な挑戦だが、必ず成し遂げると決意している」と言ったという。
自民党改憲案といえば、先日も当サイトで取り上げたような「緊急事態条項」を入れることを画策していると言われている。
しかし、2014年の豪雪時は赤坂の料亭で天ぷらを食べ、昨年の西日本豪雨のときは、「赤坂自民亭」で大はしゃぎしていた安倍政権。こうした「実績」を見る限り、それぞれの災害時に迅速に動き、災害対応を阻むものにぶち当たった結果、やむにやまれず緊急事態条項の追加を考えついたとは考え難い。
<参照:
宴会に寿司。記録的豪雨が西日本を襲う中、安倍首相や被害の大きい地域選出の議員たちの行動が物議、
豪雨の最中に納涼ビアパーティーに興じた自民党議員。本当に「先手先手」なのか?>
自身の権力ゲームに執心する安倍政権に、「緊急事態条項」を加える改憲など許していけない。
<取材・文/HBO編集部>