教団広報(総務局広報部)にも当該資料と質問書をFAX送信した。質問要旨は以下だ。
・2枚の資料『「国家と家庭を守る政治家」北村つねお議員の紹介フレーズ集』と『ラベル宛名提出に関するQ&A』は教団が作成したものか
・「北村つねおを応援する会」は教団が結成した会か
・「ラベル宛名提出に関するQ&A」に「目標達成に向けて」とあるが「目標」とは何のことか
・全国規模で行われたものか
・「後援会への入会」とあるが、「北村経夫後援会」は教団によるものか
・2013年の参院選では、教団内部資料に安倍晋三首相からの「じきじきの後援の依頼」が教団に対してあったことが記載されていたが、今回も同様に安倍首相からの依頼があったのか、それとも北村議員サイドからの依頼か、あるいは教団が自発的に行ったものか
教団からは即日、「
当教団としてこのような資料を作成したという事実はございません」と回答があった。何かと批判的に捉えられる同教団だが、外部からの質問に対し迅速な回答を行う姿勢自体は評価できるものだ。
教団からは詳細な調査を行うためとして資料が配布された地区と資料を筆者に渡した信徒の名を知らせるよう要請があったが、情報源を秘匿するために断った。
教団関係者が仕切る演説会で来場者を見送る北村経夫(7月12日、大宮)
北村といえば落選必須と見られていた2013年の参院選において、
“安倍首相じきじきの後援依頼”により統一教会が組織票約8万票を投入し初当選を果たしている。
その2013年の参院選全国比例区、北村の得票数は142,613票で当落ラインは77,173票だった。統一教会組織票約8万票を引くと当選ラインには届かない計算だ。
そして今回、2019年の参院選全国比例区で2期目の当選を果たした北村の得票数は178,210票、前回より約3万5千票増えている。当落ラインは131,727票。この3.5万票が6年間の議員活動の成果だとしても、やはり統一教会票が前回と同じく約8万票だったとすると、やはりそれ無しには当選できなかったことになる。
ところが周辺取材を続けると、当の北村自身は統一教会から支援を受けること自体を快く思っていない節がある。
そのためか北村は自身の疑惑を伝える筆者の一連の報道に対して“寛容”だという。議員事務所も居留守を使うことなく電話応対も丁寧だ。その辺り、
北村自身が産経新聞政治部長を務めていた経歴から“報道”の自由を尊重するという姿勢も見られる。
結果として向こう6年間をこの教団の紐付きで国会議員活動をすることとなった北村。今後も官邸と教団の関係を示すキーマンとして注目され続けることになる。
次稿では、内閣改造に際し初入閣への意欲を地元支援者に語っていた菅官房長官の“番頭議員”の動向を含め、菅政権への布石について検証する。
(文中敬称略)
<取材・文・撮影/鈴木エイト(やや日刊カルト新聞主筆)>