バレンシア市内にはカラトラバの作品は他にも数点ある。そのひとつに橋の欄干が一つしかないアラメダ橋がある。構造力学によって重心移動させて、欄干を傾斜させている。筆者もこの橋を通過することがあるが、歩行して渡ろうとすると車が通過する度に起こる床版の振動が大きく異常と思える程であるが、1995年に完成して以来問題になったことはない。しかし、振動幅の大きさは気になるところである。
訴訟やクレームの多い作品などで、現在のカラトラバは嘗てのようなスター的な人気はない。それでも彼は今も世界で活躍している。素晴らしい作品も生み出しているからである。
バレンシアで日本人女性と結婚していた、既に他界したある建築家はカラトラバを良く知っていて、私に「彼は売名心の強い人物だった」と言っていた。そして、この日本人女性の親友がカラトラバの姉カルメンであったことから、「カルメンと一緒に銀行に行くと支店長がわざわざ出て来て懇切に対応してくれるのよ」と言っていたのを思い出す。