意外と知らない青春18きっぷの乗車ルールと賢い使い方
吉野 輝(よしのあきら)さん
吉野氏は、これまで青春18きっぷを何度も使って全国各地を巡ってきた。もともとは中高で鉄道研究部に所属していたことから、電車の路線図に興味を持ち、青春18きっぷを使った鈍行列車の旅を始めたそうだ。
「青春18きっぷを使った鈍行列車の移動は、東京から1日あれば西は九州、北は青森まで行ける。意外に青春18きっぷの使い方や乗車ルールは知られていないので、理解すると青春18きっぷならではの旅の楽しさが見つかる」(吉野氏)
青春18きっぷは18歳以上でも購入できる。また、駅の自動券売機では5枚綴りで買えるので友人5人での日帰り旅行。3回はひとり旅に使い、残り2枚はデートで使うなど、汎用性のある使い方も可能だ。
一方で、1年のうち春、夏、冬のシーズンにしか購入できない。青春18きっぷを使った鈍行列車の旅はある程度の計画性が必要になる。1日で150キロ乗れば元取れるので、例えば熱海の温泉や花火を見に行くときは片道100キロ往復200キロなので元が取れる計算となる。
「青春18きっぷは快速には乗れるが、JR全線の在来線に限られる。JR以外の第三セクター鉄道や私鉄には乗れないことを頭に入れておく。たまに、JRとJR以外の路線が直通している電車もあるので、乗り継ぎには注意したい。また、青春18きっぷは乗車券の代わりにならないので、特急券だけでは新幹線に乗れないことも知っておくと良い」(吉野氏)
目的地までJRの在来線が通っているのか、第三セクター鉄道や私鉄との乗り継ぎの有無など、目的地までの道のりをあらかじめ確認しておくと良いだろう。
目的地によっては、青春18きっぷだけだと遠回りするケースも出てくる。このような場合は、他の交通手段をうまく組み合わせて移動すると効率化できるという。
「高速バスやフェリーをうまく併用することで、効率的な移動が可能になる。旅行に充てる時間やより効率性を求めるなら、青春18きっぷ以外の交通手段も使うと良い。また、東京から岐阜の大垣まで運行する夜行列車のムーンライトながらを活用すると、大阪方面へ早く行ける」
日本には現在、2種類しかない夜行列車の1つが、東京と大垣を結ぶムーンライトながらだ。しかし、青春18きっぷの期間と運行期間が丸被りで運行日が少ないという。
そのため、チケットは早めに手配したいところだが、発売開始1ヶ月前に予約しないと席が埋まってしまうとのこと。もし、青春18きっぷやムーンライトながらのチケットを正規ルートで購入できなかったら、金券ショップで販売されていないかも確認するといいだろう。
青春18きっぷは、切符さえ購入すれば誰でも手軽に鈍行列車旅に出かけることができる。
どの駅で途中下車して観光するか、駅弁はどの駅で食べようか。このように、計画段階からわくわくできるのが青春18きっぷを使った旅の醍醐味だ。
「途中下車して観光しても、美味しい駅弁を探しに色々な駅を巡っても良い。自分の時間でゆったりと旅行できるのが青春18きっぷの魅力。また、乗車してくる人の服装や話し声を聞いていると、その地域の流行や風土が何となくわかる。今まで知らなかったことを学ぶのにも良い機会になる」(吉野氏)
電車に揺られながら、窓から見える風景や地元の人の話し声に耳を傾けてみると、何か発見があるかもしれない。
新幹線や飛行機で行けば、あっという間に目的地へ着く一方、鈍行列車を乗り継ぎ、見知らぬ土地の日常に触れてみるのもいいだろう。
かけがえのない人と巡り合える一方、時間が読めず、少々危険な目に逢う可能性も否定できないヒッチハイク。切符さえ購入すれば、自分の時間を過ごせて手軽に移動できる青春18きっぷによる鈍行列車の旅。あなたは、どちらを選択するだろうか。
旅は人を成長させるというが、ヒッチハイクや青春18きっぷはまさに最たるものなのではと思う。一長一短はあるが、どちらも自己成長にはもってこいの旅行スタイルであると言えよう。
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。