「また竹迫牧師が仙台の大学で講師をしていることもあって、白河のLETSに仙台在住の人からのSOSが多く入るようになってきました。中でも女性からのSOSが多かった。奨学金返済や実家の経済事情など貧困が原因で性風俗産業に関わったというケースもあれば、生活支援を確立しなければ住居付きの性風俗求人のような貧困ビジネスに向かいかねなかった相談者もいます。未成年女性からの相談もあります。そんなこんなで白河のLETSが一杯になってしまいました。また白河より仙台のほうが都会なので、ケアハウスで生活しながら仕事を探すといった自立支援もしやすいので、今回、新たに仙台に女性向けケアハウスを作ることになったのです」(松田氏)
5月にオープンしたLETS仙台の間取りは5DK。すでに、継続的な入居者だけではなく、「オフ会のようなノリで互いに交流する人々の短期滞在もある」(松田氏)という。
「もともと、カルト被害者や2世の支援の現場では、カルトと無関係な貧困等の相談が来ることもあれば、そういった人々にも支援しようとする問題意識はありました。白河のLESTも、13年間、それをやってきました。一方で一般的な貧困支援活動の関係者からも、カルト2世などからの相談があるという話は聞きます。しかし当事者の課題の原因や背景にカルトの教義という特殊な事情がからむため、福祉関係者の中には『カルトには関わらないほうがいい』ということをこぼす人もいる。本来はほかの生活困難者と区別する必要などなく、カルトがからむ部分についてだけカルトに詳しい専門家と連携できれば対処できるはずなのですが」(松田氏)
支援活動そのものに加え、カルト問題と貧困問題それぞれに取り組む人々の交流や提携の足がかりになっていくことも見据えた活動だ。現在LETS仙台では、維持費用捻出のため
クラウドファンディングを実施。すでに1次目標額である100万円を達成し、現在は2次目標として、2020年までの1年間の維持費200万円を目指している。
<取材・文/藤倉善郎>