illustrated by shutterstock
Google Chrome が FTPサポートを削除する計画
8月の中旬に、
Google Chrome が FTP のサポートをやめるという話が出た(参照:
Chrome Platform Status)。Google Chrome では現状、
FTP の暗号化通信もプロキシもサポートされていない。Webブラウザでの FTP の利用者は非常に少なく、そこにリソースを投入する理由がない。それに、Google Chrome が提供されている環境では、いずれも高性能なFTPソフトが存在している。だから廃止するということだ。
この話を読んで、私は妥当な判断だと思った。20年前ならともかく、今ではWebブラウザで FTP を利用する機会はほぼない。プログラマでもない人間ならなおさらだ。
プログラマならば、まれに古いプログラムのソースコードが匿名FTPで公開されていることがありダウンロードすることもある。そうした時に手っ取り早く、Webブラウザの FTP ダウンロード機能を使う。
しかし、そうした場面に遭遇しないならば、FTP をWebブラウザで使う必要はまず生じない。
99.9%以上の人間にとって、Webブラウザの FTP 機能は不要なものと言えるだろう。
さて、当然のように FTP という言葉を使ったが、今ではその存在を知らない人の方が多いと思う。FTP は、
File Transfer Protocol(ファイル転送プロトコル)の略だ。その名の通り、ファイルを転送するための仕組みで、サーバーからファイルをダウンロードしたり、サーバーにファイルをアップロードしたりするのに使われる。
自分でWebサイトを運営している人ならば、FTP の存在を知っているだろう。ただ、ブログシステムなどを利用している人は、使う機会はあまりないかもしれない。それに、FTP は古い規格で、セキュリティ的にもあまり好ましいものではない。そのため、違う方法でファイルの更新をしている人の方が、現在では多いだろう。
FTP は、現在ではWebサイト管理者側でなければ利用しない技術だが、かつては一般ユーザーでも接する機会があった。インターネット上には匿名でアクセス可能な FTP サーバーがあり、そこで様々なファイルが配布されていた。そうした場合のURLは
「ftp://」で始まり、Webページなどにリンクが張られていた。
Webブラウザ側では、ファイルをダウンロードするだけでなく、
ディレクトリへのアクセスもできた。その際はディレクトリ内にあるファイルの一覧が、リンク付きでリスト表示された。
リストの冒頭には、上の階層のリンクも付いていた。そのため、Explorer を操作するようにリンクをたどり、必要なファイルにアクセスできた。古いシステムではあるが、
ファイルを配布するという目的では、利便性が高いものだった。
また、ファイルやディレクトリの一覧を入手できるので、それらを利用してサーバー上のファイルのミラーリングをおこなうのにも向いている。
画像やテキストファイル、プログラムのコードや実行ファイル。そうしたデータの公開に FTP はよく使われていた。大学のサーバーで、ファイルが配布されていることも多かった。HTTP と並行して、FTP というもう一つのファイル公開手段があったわけだ。
ただ、Webブラウザが FTP をサポートすることに、現在では
必然性はほぼない。ファイルのダウンロードを FTP でおこなうサイトに出会うことは極めてまれだ。そもそも、FTP の規格自体が古すぎて、現在のインターネットの実情に合っていない。以下、その古さについても触れておく。