代表的な項目が、不動産仲介料だ。
「不動産仲介料は、部屋を借りる際に不動産会社の業務への対価として払うお金ですので、消費税がかかります。スーパーに行って、モノを買うのと同じ扱いですね。
たとえば6万円の賃料で、仲介料が1か月分の場合は、消費税8%では6万4800円ですが、10%では、6万6000円となります」
また、クリーニング費用や鍵交換代、害虫駆除作業費など細かな項目の中には消費税が課税されるケースがある。
中でも安孫子さんが注意を促すのが駐車場の使用料だ。契約内容によっては、課税と非課税の両方の可能性があるためだ。
「アパートやマンションと一体となり、賃料や共益費とならんで『駐車場料金』と明記されて家賃に含まれている場合は、非課税です。
しかし、住まいと駐車場が別契約になっている場合は10月から10%が課税された料金が請求されます」
マンションによっては、建物内にジムがあるケースがある。施設使用料にも気をつけよう。
「住人以外の人が利用できない場合は非課税ですが、住人以外の人も利用できる場合は課税対象です。誰が使えるのかによって、課税か非課税かが分かれます」
ウィークリーやマンスリーマンションは、契約期間に注目
居住用の契約でも、ウィークリーやマンスリーマンションのように、短期間の滞在を目的とした場合は、契約の期間が基準となる。
「たとえ居住用でも、契約期間が1か月に満たない場合は、ホテルや旅館と同様に消費税がかかります。1か月を超える場合は、非課税です」
ただし、「旅館業法第2条第1項に規定する旅館業」として貸している場合には、契約期間が1か月を超えたとしても10%になる。家賃ではなく旅館としての宿泊費の位置付けのためだ。長期出張でマンスリーマンションを使うときには、契約書をよく確認しよう。
ほかに特殊なケースとしては、企業が従業員を住まわせる目的で社宅を借り上げた場合がある。
「社宅は従業員が住むために借りる物件ですので、『居住用』の扱いになり、家賃に消費税はかかりません。しかし一部を事務所として使う場合は『事業用』とみなされ、消費税が課税されます」
居住目的で部屋を借りる際には、家賃や敷金・礼金など諸費用に消費税がかからないため、大きな影響を受けないことがわかる。しかし、不動産仲介料のように税率が上がる項目も存在することは覚えておきたい。
物件の契約時、一回の支払いで終わる不動産仲介料と違い、駐車場や施設使用料は毎月継続して発生する費用だ。8%から10%へ、「2%」の増税が家計に与える影響は決して小さくない。消費税アップを機に、契約項目の見直しをするのはどうだろうか。