強いリーダーシップだけの上司は「押し付け野郎」となっていつか失速する可能性

 筆者は指示や命令によるトップダウンのマネジメントではなく、質問や示唆によって相手の意欲を高め、能動性を引き出す「巻き込み型のリーダーシップ実践力」を演習している。演習参加者から必ずといってよいほど寄せられる質問に、「トップダウンのマネジメントのほうが、メンバーのパフォーマンスが上がるのではないか」というものがある。特に短期間で成果を上げるには、トップダウンのマネジメントのほうが適していると思っているリーダーが多いように見える。

成果を上げるにはトップダウンと思われているが……

photo via Pexels

 確かに、トップダウンのマネジメントで成果が十分に上がっていて、パフォーマンスの出具合に一片の曇りもなければ、トップダウンのマネジメントを継続すればよいと言える。しかし、少しでもパフォーマンスに陰りが見えたら、トップダウンのマネジメントに固執しないで、ボトムアップのリーダーシップを試してみることをお勧めする。  加えて、トップダウンでマネジメントしなくてもよいことまで、トップダウンでやっていたとしたら、ボトムアップのリーダーシップを実施してみるとよい。トップダウンの場合よりも、成果が上がりやすくなるという事例がたくさんあるからだ。

陰りが見えたらボトムアップに切り替える

 トップダウンで、「このとおりやれ」「いつまでにやれ」「徹底的にやれ」とリーダーが実現させたいことを100として、100やれと指示・命令したとして、60しか成果が出なかったとする。  こうした場合にリーダーは躍起になって、「なんでやらない」「もっとやれ」「しっかりやれ」「やるまで帰ってくるな」……と、さらに指示・命令を強化してしまう。  しかし、実は、100やれと指示・命令して60の成果しか出なかった場合、さらにやれと指示・命令を重ねて、成果が70、80に上がることは数少ない。たいていの場合は、60が50に下がり、さらに40に下がっていってしまう。  「やらないメンバーがだめだ」「メンバーの出来が悪い」とメンバーの責任を問いたくなるものだが、そうなる前にリーダーシップの発揮の仕方を、ボトムアップに変えてみることをお勧めする。そうすれば、60が70、80になる確率が格段に高まるのだ。
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意欲や能動性を引き出せば、結果もついてくる
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