昔ながらのタイの「カフェ」。それは歌謡ショーありのレストランだった!

地元民の娯楽を満喫できるカフェ

美しい女性歌手

地方出身の歌手はスタイルもよく、美しい人だった

 この「ザ・サン・カーフェー」を始め、カフェがおすすめの理由はふたつある。  まず、女性がきれいなので、歌は正直うまくないにしても、観ていられる。そして、なによりも接客の態度が素晴らしい。外国人向けのバーなどは従業員が外国人を小バカにした態度で接してくるケースが散見される。タイ語がわからないことをいいことに、従業員らは堂々と客の悪口を目の前で言うなど、ひどい接客なのだ。日本人経営店や日本人従業員が常駐して徹底的に接客態度を管理・教育している店ならいいのだが、特に欧米スタイルのバーはひどい。売り上げを上げるためには仕方がないことだが、しつこく女性へのドリンク購入を勧めることも少なくない。断れば、店員が怒り出す始末だ。しかし、「ザ・サン・カーフェー」なら歌手を呼ばずにただ飲食するだけでも嫌な顔をされることもない。
カシューナッツ

カシューナッツを軽く炒めて塩を振っただけのものもカフェで食べるとおいしい

 この店に限らず、カフェやローカル向けの飲食店などはタイ人が顧客の中心になる。そのため、言葉遣いや態度などに、タイ人らしい優しさが随所に見られるようになる。カフェは風俗店ではないので女性客も歓迎なのだが、現実的に女性歌手が多く、席で接客することから、男性客ばかり。そして、よくも悪くもタイ人男性は酒の飲み方が上手ではない人も多く、かつ素性が見た目で判断できない、タイは銃社会でもあるということから、従業員も客に気を遣うことになる。言葉ひとつ間違えれば、極端には殺される可能性だってあるからだ。  そうして、接客態度が丁寧になり、非常に居心地がいいと感じるのだ。  カフェの魅力のふたつめは料金だ。カフェでかかる費用は飲食費と、もし歌手に花輪をかける場合は別途かかるだけ。「ザ・サン・カーフェー」では100バーツ(約350円)からになる。歌手が隣に来て、一緒に飲食をしたとしても、彼らが食べるもの・飲むものはすべて客が注文しているものになる。つまり、追加料金が発生しない。 「ザ・サン・カーフェー」の料金例で話すと、我々日本人でも問題なく飲めるウィスキーが「100パイパー」というブレンドウィスキーで、750mlのボトルで約500バーツ(約1750円)。これ以下のグレードだと二日酔いがひどいなど、粗悪なウィスキーになる。ビールもあるが、タイでは税制上割高になるので、ウィスキーの方がいいのだ。  食事は100バーツ前後からあり、氷やウィスキーの割りもの(ソーダや水など)も30バーツ(約100円)程度となる。安い上においしいというメリットもある。
「ザ・サン・カーフェー」の名物

「ザ・サン・カーフェー」の名物は自家製の発酵スペアリブのから揚げ

 4人5人で行き、料理を2、3品程度注文し、女性数人に花輪をかけてもせいぜい1000バーツ(約3500円)しかかからない。ひとり頭ではなく、全員で、だ。しかも、ボトルキープもできるので、次はもっと安くなる。筆者はボトルキープしておき、2回目に行ったときは料理を注文しなかったので、3人の飲食合計金額が200バーツ(約700円)程度で済んでしまった。

今や希少スポットになっているタイの「カフェ」

 接客態度もよくて居心地がいい上にこの料金設定はかなりいい。ただ、タイ語ができないと、立地がバンコク郊外ばかりになるので、行きづらいというデメリットはあるが。  日本でも元々のカフェは女給が積極的に接客する喫茶店だったということから、タイのカフェがまさにそういったものになる。日本にはもうない、昔の日本の遊びを体験できるという意味でも、バンコクのカフェは興味深い場所だ。  バンコクだと「タワンデーン」という店などがカフェの発展系として有名である。こちらはどちらかというとディスコのようなジャンルで、大音量のステージショーを観ながら食事をしたり、深い時間帯になると席周辺で踊るというスタイルになる。歌手が席で接客をすることはほとんどなく、女性客も少なくない。タイ式のディスコはこういった店をさらに都会の若者向けに発展させたものになる。  そう考えると、カフェはタイの夜遊びの原点であり、昔ながらのスタイルを貫く「ザ・サン・カーフェー」の店員が言うには「このタイプのカフェはバンコクにはもう10軒もないはず」ということで、今のうちに足を運んでおきたい飲食店でもある。
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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