好きなことを仕事にできるのか? インバウンドのサーフィン体験サポートで生きる男

sorakara / PIXTA(ピクスタ)

「好きなことで飯を食う」

「好きなことを仕事にしていきましょう」――。  自己啓発セミナーの講師などがよく口にする決まり文句だが、筆者に言わせれば完全に偽善である。  この言葉が本当なら、筆者はMLBで本塁打王になり、40になった今頃はデレク・ジーターのように壮大な引退試合によって送り出されていなければおかしい。ストリートミュージシャンは、全員喰えて「ミュージックステーション」に出ているはずではないか。現実がそうなっていないのは今さらここで繰り返すまでもない。  だが、世の中には確かに「好きなこと」で食っている人がいる。インバウンドのサーフィン好きを集めて生活している人がいるという話を聞きつけた筆者は、さっそく取材してみることにした。 

体験型の「コト消費」を提供

「私がやっているビジネスモデルとしては、サーフィンを自分一人でできない人にサーフィン関係の用具を貸したり、適した場所でサーフィンできるように案内するので、その体験代を下さい、ということですね。朝一番に渋谷で集合し、海に一緒に行って、サーフィンをし、海沿いの美味しい魚を食べたり、という全体の体験になります。一人で数回海に行ったとしても、適したサーフィンスポットやお店の開拓には限界がありますからね」 「インバウンドのサーフィン好きを集めて生活している男」、山口武洋が切り出した。 「ただね、何も知らずにビギナーとサーフィンに行くと独特のムラ社会に取り込まれてしまうんですよ。 “お前、そのステッカー、うちのじゃないだろ” “え、ステッカーって何すか?” “〇〇さんのところでしかスクールやってないからそっちいきなよ”  みたいな。楽しくサーフィンしに来たのに、いわゆるローカリズムにあって、嫌な思いをする場合があるんですよ。でも、外国人を連れて行けばそういう問題が発生しないのではないかと考えました。広い意味で、ゲストですから。あと、何かあっても外国人に英語でイチャモンをつけるのは結構難しい。それで実際に外国人を連れて行ったら、諸々の問題が一切発生しないんですよ。これはヒントになるなと思いました。もちろん、私が事前に諸々説明していることも大きいですが。私は30歳でサーフィンを始めたのですが、どうせならきちんとしたライセンスもとってやろうと思い、NSA(日本サーフィンアソシエーション)の免許も取りました。それが34のときでしたかね」
山口氏の指導員資格カード

山口氏の指導員資格カード

 現在、山口はMeetupというサイトに“Surfing for beginners”というコミュニティを立ち上げ、集客している。  8月23日現在で978人のメンバーが登録しており、約170回のイベントが開催されている。毎回最低四人集まればツアー成立となり、6:30に集合して21:00に解散する長いバージョンであれば一人11000円、17:00に渋谷解散の短いバージョンであれば7000円である。そして冬にはバリなど海外ツアーもやっている。
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「客商売」の悩みのタネ、「ドタキャン」にはどうやって対応してる?
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