とにかく、日本人も感じていることだが、年々暑さが厳しくなっているように思うという声も。
「
20年前に一度来日して、6年前に再び日本に来たんですが、毎年暑くなってる気がします。これで来年はオリンピックなんて、死んでしまったり、体を壊す選手もでてしまわないか心配です。北京五輪は観られなかったので、少し前までは東京でオリンピックを観てみたいと思っていましたが、今年の暑さを経験して、今後夏の間はハルビンに帰ろうかと思っています……」(女性・38歳・中国人)
いずれのコメントも、まったくその通りなのだが、こと今の日本では、東京五輪について、こういった常識が通じなくなっているのが現状だ。
「
競技の時間を朝や夜にずらしたところで、たいして効果はないと思います。暑さはもちろんだけど、湿度もスゴいから、選手もコンディションを調整するのは難しい。観客も熱中症を心配しながら観戦するのでは、競技に集中できないんじゃないでしょうか」(男性・39歳・韓国人)
日本の夏は暑いという前提が無視されたまま招致、準備が進められてきた以上、今さらどうしようもない……。それが外国人たちの目に映っている東京五輪の現状だ。
「僕は昼間コンビニで働いているのですが、休みの日に友だちと遊びに出るにしても絶対に夜ですね。まず外に出ようって気になりません。
この暑さを知らずに来た観客は絶対ガッカリすると思いますよ」(男性・31歳・インド人)
誰の目にも危険性が明らかなまま、刻一刻と開催が近づいていく東京五輪。事故や死者が出た場合、日本の夏を知っている外国人からはきっと「知ってた」という声があがるだろう。
しかし、そうと知らずに「温暖な気候」という謳い文句を鵜呑みにした観客からは、「話が違う」という怒りが噴出するはずだ。暑さ対策が機能していない以上、五輪関係者が一番用意しておくべきは、「言い訳」なのかもしれない。
<取材・文/林 泰人>