トレーニングセンター内には今後トラックマンも設置される予定で、その設備はさらなる進化を遂げていきそうだ。
「トラックマンに加えて、最新の映像遅延装置も導入する予定です。映像遅延装置は投球フォームを自動的に数秒後に画面に映し出すことができます。これまでは試合で投げないと計測ができなかったので、練習の段階からいろいろと試すことができます。
またプレスルームの下には、当初ストレッチエリアとして使用する想定だったスペースがありますが、選手強化に繋がる設備を導入しようかなと検討しています」(広池氏)
右奥に見える「ファンデッキ」のスペースから、練習を見学することができる
実はこのトレーニングセンター、その一角から選手たちの躍動する姿を覗くことができる。「ファンデッキ」と呼ばれる見学箇所が設置されており、貴重な練習風景を見ることができるのだ。その狙いについてボールパーク推進部・赤山智志氏はこう語る。
「新しい室内練習場の検討を始めた当初から、お客さまの選手・球団へのエンゲージメントを高める、選手をお客さまの目に触れさせる仕掛けとして、日常的なタッチポイントを設けたいと検討を進めておりました」
「ファンデッキ」の設置については、ファンサービスという意味合いはもちろん、育成面での効果も見込んでいるという。
「チームとしては、多くのファンの方にライオンズの練習風景を見てほしいと思っています。ファンの方に見られていることで、プロとしての意識や緊張感を持って練習に取り組むことで、よりレベルアップに繋がっていくと考えています。
同時にファンの方も室内練習場で練習風景を見学し、選手への思い入れも強くなっていくと思います。その選手が試合で活躍したときには、ファンの方とともに喜びをわかち合えると思っています。ファンの方と選手同士、互いにいい相乗効果が生まれると期待し、チーム側と事業側の意見が合致しました」(広池氏)
新たなグッズショップや屋内練習場といったハード面を改修したことで、今後はファンや選手、スタッフといったソフト面での伸びが期待される埼玉西武ライオンズ。チームの成績だけでなく、今後は球団全体の動向にも注目だ。
<取材・文/林 泰人 撮影/渡辺秀之>