深夜のサービスエリアで休憩するトラック
お得なはずの高速の深夜割引、運送業界は大歓迎ではない!?
「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。
これまでに、一般ドライバーからは一見すると「マナー違反だ」と思われてしまうトラックドライバーの行為の理由を紹介してきたが、今回は
「高速道路の深夜割引がもたらすトラックの迷惑駐車と長時間労働」について紹介したい。
高速道路の深夜割引は、
自動料金収受システム(ETC)を利用したクルマが、午前0時から午前4時までの時間帯に高速道路を走行した場合、高速料金が3割引になるサービスだ。無論トラックだけではなく、他車両も利用できる。
例えば、東京から大阪(吹田)まででかかる大型自動車の高速通常料金は、約17,500円。これが深夜割引を利用すると約12,200円となり、5,000円以上高速代が浮く。
「配送料無料」の時流や、競合他社との価格競争に対応するべく、安い運賃が定着化する昨今の運送業界。
それゆえ、毎日朝イチで遠方の取引先へ荷物を届ける長距離トラックにとっては、この割引サービスの存在は大変に大きい。中には同サービスを利用し、毎月数百万円以上の高速代を浮かせる業者もいる。
また、この割引を受けないと、収入に直接響くドライバーも存在する。会社との雇用形態によっては、毎月の給料が、ドライバーの売上から高速代を引いた金額からの歩合だったり、深夜割引で浮かせた分が給料に反映されたり、さらには、荷主から高速代が出ず自腹を切らねばならないケースもあるからだ。
しかし、これほど利益や収入に貢献する同サービスであるにも関わらず、業界内からの声は「有り難い」というポジティブなものだけに限らない。むしろ、「現在の割引制度こそが、運送業界の抱える大きな問題の要因になっている」と、改善や変更を望む声が多く挙がっているのである。
同サービスで生じる運送業界の問題とは、以下の通りだ。
1.迷惑・違法駐車
現在の深夜割引は、先述通り午前0時から4時までだ。この時間帯に、ほんの僅かでも高速道路内にいれば、割引が適用される。
つまり、午後11時59分に高速を出るのと午前0時を回って出るのとでは、先の例のような大きな差額が生じるのだ。そのため、ドライバーに
「0時まで高速を出るな」と指示している運送業者も少なくない。
こうした「
0時までの高速内待機」で発生するのが、大型車の駐車マス不足だ。
小型車専用マスに駐車するトラック
平日夜の主要サービスエリアやパーキングエリア(SA・PA)に行くと、大型専用車のマスには、全国津々浦々のナンバープレートを引っ提げたトラックが、大きなタイヤを並べて駐車しており、空いているマスは、全くといっていいほど存在しない。
その結果、遅めに入って来たトラックは行き場を失い、本来駐車してはいけないところに、ダメだと思いながらも身を置いてしまう。
夜間、
SA・PAの小型車エリアのマスや、SA・PA出口の本線合流に接する路肩、インターチェンジ出口手前などに、多くのトラックが停まっているのは、そのためだ。