スペインは40年間連立政権で政治を担ったことがない。だからその為にノウハウもない。しかも、政治的安定を図って、仮に社会労働党が国民党と連携しようとすれば、「国民党はフランコ時代の7人の閣僚がつくった政党だ」と言って、フランコに嘗て弾圧された政治家を含め社会労働党が国民党と連携するのはもってのほかだという社会意識がある。
またスペイン人というのは猜疑心が強く、自分が一歩譲れば相手はその譲った一歩に侵入して来るという意識が強い。だから、サンチェス首相がポデーモスのイグレシアス党首を入閣を望まないと断言したのは、自己主張の強いイグレシアスが内閣を仕切るようになることを恐れたからである。信頼を寄せられない相手と連携しようとするのは所詮むりがあるのである。
スペインではどの組織でもひとり独裁的な人物がいると機能するという傾向にある。チームワーク良く組織を運営させるというメンタルに欠けるところがある。サンチェス首相は独裁的な振る舞いが出来る人物ではない。しかも、超一級の政治家でもない。だからこのような難局を切り抜けて行けるだけの資質に欠ける。
11月の再選挙の可能性が高いように思われる。勿論、仮に選挙になっても社会労働党が過半数の議席を獲得する可能性はないが、議席は増えすはずだ。しかし、連立政権が必要になってくる。一方の、ポデーモスもシウダダノスも議席を減らすことは間違いない。よって、両党とも大人しくなって要求することも少なくなるはずである。特に、シウダダノスは議席数を大幅に減らすはずだ。それがこれまでの社会労働党を批判して来た方針から方向転換を余儀なくさせるようになり、社会労働党との連携も容易になる可能性がある。
再選挙になるのか否か9月23日まで待たねばならない。(参照:「
El Confidencial」)