カルロス・ゴーン元会長の報酬は大部分が支払い繰り延べ
東京商工リサーチは7月19日、
役員報酬に関する調査の結果を発表した。2019年3月期に最も役員報酬が多かったのは、ソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長で、32億6600万円だった。基本報酬が3億3900万円で、株式報酬が29億2400万円だったという。
2位は、新日本建設の金綱一男会長で23億4300万円、3位はソフトバンクグループのマルセロ・クラウレ副社長COOで18億200万円だった。
5位には、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長がランクイン。役員報酬は16億5200万円だったが、このうち12億3700万円は支払いが繰り延べになっているという。
役員報酬を個別開示した280社のうち、1億円以上受け取っている役員が最も多かったのは三菱電機の21人。2位は日立製作所の17人で、3位はファナックの10人だった。
役員の基本報酬と賞与を合わせた「報酬額」と、従業員の平均給与を比較したところ、最も格差が大きかったのは、日産自動車だった。ゴーン元会長の報酬額が16億4700万円に上る一方、従業員の平均給与は815万4000円。約202倍の開きがあった。
2番目に開きが大きかったのは、日本調剤。三津原博元社長の報酬額6億6300万円に対し、従業員の平均給与は545万7000円だった。
役員報酬の個別開示は2010年3月期にスタート。調査を実施した東京商工リサーチによると「海外市場の好調を反映した電機メーカー、商社などを中心に、2019年3月期は社数・人数とも過去最多を更新した」という。
こうした結果を見ると、役員報酬と従業員の給与にあまりにも差があるように思われる。しかし日本では、諸外国に比べて役員報酬が低い傾向にあるという。
真壁昭夫・法政大学大学院教授は、
「なぜ日本企業の役員報酬や管理職給与は低いのか」(ダイヤモンド・オンライン)で、「わが国でCEOが受け取る平均的な報酬は1億円程度だが、米国では10億円を超える。欧州でも5億円超が平均的な相場といわれる」と指摘している。欧米の経営者の方が、重い責任を負っているため、報酬が高くなるのだという。