中国がアフリカの後、ラテンアメリカに視線を向けたのは2000年代初頭であった。中国のラテンアメリカへの進出を容易にしたのは当時ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、ボリビアなどで反米政権が誕生したからであった。
勿論、中国のラテンアメリカにおける関心は
資源の確保であった。
日本は資源のない国だ。本来ならば、中国がラテンアメリカに進出して来る以前に日本が先陣を切ることができたはずであった。なぜならば、ラテンアメリカにおける貿易取引相手国のトップは米国と日本であったことからその実現は容易であった。ところが、日本にとって「
ラテンアメリカは遠い地域」という概念が国家レベルで支配していたのか、ラテンアメリカでの資源開発に日本は
積極的に投資をして来なかった。しかも、これまでの日本のやり方は
商社依存であった。
一方の中国はまず政府が先頭に立って相手国に乗り込んで政治的に企業進出を容易にする下地をつくる。その後企業が実際の事業を担当するという形を展開している。
ブラジルは日系人も多く、日本のラテンアメリカへの進出の玄関になれた国であった。ところが、現在のブラジルは中国からの資本投下で発展して来た。あれほど、中国を毛嫌いして来たボルソナロ大統領も10月に北京を訪問する予定だ。ブラジルにおける中国の影響は絶大である。同じことはアルゼンチン、ペルーでも言える。(参照:「
El Pais」)
更に、最近の中国はこの地域における武器の輸出も次第に伸びている。しかも、その為に中国は資金の融資も行っているほどだ。
その背景には、米国がこれまでコロンビア以外の国で最新兵器の販売を避けてきたという事情がある。ラテンアメリカにおける米国製の武器は古い型式のものが主流になっているのだ。
しかもトランプ米大統領政権は当初ラテンアメリカへの関心は薄かった。それも中国がラテンアメリカで伸展を拡大できる要因となった。
ラテンアメリカにおける日本が今後できることは対象とする国を数か国絞って、そこを集中的に日本が協力して相互の発展を図ることであろう。