「甲子園にイカ焼きを」……投資家たちは見た! 令和元年「株主総会」リポート

 令和元年の株主総会は話題満載。注目の企業からマニアックな企業まで有名投資家が表に出ない内幕を明かす!

6月25日の日産の株主総会は3時間22分の長丁場に!(日産HPより)

令和初の[株主総会]リポート

 甲子園でイカ焼きを売ってくれ――そんな珍要請が飛び出して話題を呼んだのは阪神阪急ホールディングスの株主総会だった。対照的に、不正融資に揺れるスルガ銀行の総会では「社長やめろ」コールが飛び交うことに。令和最初の株主総会には、多くのドラマがあったのだ。’19年3月期は上場以来初の減益決算となったZOZOもしかり。 「前澤友作社長がツイッターで1億円のお年玉を配ったことに絡めて、株主の一人が『お年玉より配当を』と求めると、社長は『フォロワー数の増加に効果があった』と即答。昨年、ZOZOの役員に加わったインフルエンサーの田端信太郎氏について『SNSでの炎上をやめさせてもらえないか』と質問が飛んだときは、『田端も坊主にして反省している』と回答したのが印象的でした。もとから田端氏は坊主なんですから(笑)。ほかの役員に任せず、一人でユーモアを交えながら株主の質問に答えていく前澤社長を目の当たりにして、『この人、ロックだな!』と感心してしまいました」  そう振り返るのは株主総会マニアとして、毎年数十社の総会の様子をリポートしているすずき氏。今年4月には日産自動車の臨時株主総会にも出席した。 「ゴーン・ショックもあってケンカ腰の質問も目立ちましたが、西川廣人社長は丁寧に質問に答えていました。この6月の総会も3時間半弱の長丁場で20人以上の株主の質問に答えたように、日産は積極的に株主の声に耳を傾けています。対照的だったのはテレビ東京。会場内でのSNS投稿が禁止で質疑応答も20分で打ち切り。経済メディアの雄らしからぬ総会でした」  一方、巨額赤字を計上したRIZAPの総会に出席したのは個人投資家のmtips氏だ。

社長へエールを送る株主が

「荒れるのかと思いきや、質疑応答では『株価が怖くて見られませんけど、社長を信用しています。女房も社長のファンです』などと瀬戸健社長へエールを送る株主が多くて驚きました(苦笑)。その瀬戸社長は『今期も赤字だったら来年はこの場にいない』と明言したので、来年の総会が注目ですね」  なかには、総会ならではの興味深いやりとりも。 「トヨタの株主総会で、ある株主が質問した『高齢ドライバーの暴走事故にプリウスが頻繁に登場するようだが大丈夫か?』は、今年のベストQでした。プリウスに問題があったとする事実はないのに、多くの人が漠然と抱える不安を言葉にしたかたち。メディアにはできない質問でしょう。トヨタにとっても妙な噂を一掃する好機となった興味深いやりとりでした」  実は、こうした総会のやりとりが注目されるようになったのは最近のことだ。
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スチュワードシップ・コード導入がモノ言う株主増加の契機
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