カンファレンスと同時開催される体験型イベント&フェスティバルでは、来たる5Gテクノロジーを疑似体験できるという。
スクリーンを通してバーチャルなサッカーのパスのやり取りができる「Virtual Football Practice」や、モバイル端末からサイネージに接続してファッションアイテムを購買できる「デジタルクローゼット」など、近未来体験エリアでは5G時代のライフスタイルを身近に感じられるコンテンツが用意される。
特にデジタルクローゼットは、既存の購買体験を変えるサービスになるという。
従来では、手元のスマートフォンでECサイトにアクセスして、ファッションアイテムを購入していた。しかし、デジタルクローゼットでは、サイネージ上で、誰もが見られるパブリック情報を確認しつつ、手元のスマートフォンでは、自分向けの着合わせのおすすめアイテムや、パーソナライズされた割引クーポン等を受け取ることができるようになる。
このように街中のディスプレイからも情報をキャッチし、手元のスマートフォンの情報を補完し合いながら購買していくように変化するとのこと。
楽天の執行役員で、技術研究所代表も務める森正弥氏は、「5Gには超高速、多接続、低遅延という3つの特徴がある。スポーツやエンターテイメントなどをまるでその場にいるかのような臨場感をリアルに味わえるようになる。5Gの通信に乗せて高精細な8KVR映像配信をすることで、臨場感あふれるコンテンツが作れる」と解説。
さらに「5G時代には街中の大型ビジョンやサイネージに、街中の人が同時アクセスしてコンテンツを楽しむということが当たり前になるかもしれない。従来の通信では実現できなかった新しい購買体験やエンタメ体験が可能になり、ビジネスの可能性が広がる」と5G時代に実現する新たな体験について説いた。
デジタルサイネージでパブリックな情報を確認し、手元のスマートフォンでプライベートな情報を確認する時、リッチなスペシャルコンテンツをスマートフォンに広告配信する等、新たなビジネスモデルも生まれそうだ。これも4Gではアクセス過多が発生した時に、通信を圧迫し、速度が遅くなることがあったが、5Gではそのようなことがなくなるからこそできることであろう。
常務執行役員で、楽天ペイメント株式会社代表取締役社長の中村晃一氏は、イベントに導入する完全キャッシュレス施策について説明した。
「5G×モバイル決済の文脈から、『Rakuten Optimism 2019』のフューチャー・ワールド内の物産品やグルメ、物販は全て完全キャッシュレス決済を導入する。5G時代が到来することで、キャッシュレスというユーザー体験が広がり、より便利なライフスタイルの訴求を追求していきたい」と語った。
5Gが直接的にキャッシュレスの普及につながるかどうかはある種、別軸なので断言はできないものの、通信の高速化などにより、キャッシュレスサービスがより使いやすくなって、今よりキャッシュレス社会が進む可能性ももちろん考えられるという。
また、未来のキャッシュレス決済を体験できる「事前オーダー」や「顔認証決済」などのブースも展示されるという。楽天は5Gも含め、様々な技術の進歩を追い風にしながら、キャッシュレス決済の普及に向けて、よりよいサービス提供に従事していくという。近未来のテクノロジートレンドを結集させた「Rukuten Optimism 2019」。ビジネスの潮流を変えるだろうと言われる5G時代の到来はもうすぐそこまで来ている。
<取材・文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。