「シェア」から生まれる新しいライフスタイル。人との繋がりや信用が重視される経済圏とは?

様々な場所に移動しながら暮らす「アドレスホッパー」という生き方

左から石山アンジュさん、佐々木俊尚さん、市橋正太郎さん

 また、定住先を持たず、様々な場所に移動しながら暮らす「アドレスホッパー」であるHOPPING MAGAZINE 編集長の市橋正太郎氏は、「私にとってのシェアは、移ろい偶然を楽しむ社会だと思う。海外へ行く時も無計画で行動することを意識していて、偶然出会う人や光景がとても刺激的に思える。たまたまの出会いがまた次の出会いを生む。これがアドレスホッパーとして生きる魅力」と自らの体験をもとに述べた。  もともとアドレスホッパーという言葉は、旅の楽しみ方にあるアイランドホッピングから着想を得たという。あえて予定を決めずに行動し、偶然の出会いを楽しむ。  広く浅く人と繋がっていき、家を持たない暮らしを実践する市橋氏は、「私が実践する生き方で大事なのは、偶然を通して得た情報や繋がり。会社員の時にはない、人間関係の中で仕事をしている感覚がある。こうしたライフスタイルもあるんだということを、社会にもっと提案していきたい」と述べた。

「人と共有することで得られる新しい体験が人生を豊かにする」

石山アンジュさん

 石山氏は著書『シェアライフ 新しい社会の新しい生き方』(クロスメディア・パブリッシング、2019年)の中で触れている、シェアで変わる働き方や暮らし方についてこう説明した。 「シェアするライフスタイルを実践することで、暮らし・仕事・豊かさの尺度や見方が変わる。シェアハウスで出会う人との交流や、スキルやモノを持っているだけではなく、人と共有することで得られる新しい体験が人生を豊かにするきっかけになる」  昔は、地縁、血縁、所属意識に基づいたコミュニティで社会が形成されていた。しかし、シェアハウスや多拠点をハブにした居住スタイルなど、シェアライフを送ることによって新しい居場所ができる。  また、消費・趣味・価値観に基づいたコミュニティが形成されることにより、豊かさの象徴である「お金」という従来の概念から「人との繋がりや信用」へパラダイムシフトが起こっている。  シェアリングエコノミーがもたらすライフスタイルや価値観の変化。そう遠くない未来に、シェアすることが当たり前になる社会も到来するだろう。 <取材・文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。
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