※写真は本文と関係ありません photo by @yume / PIXTA(ピクスタ)
埼玉県さいたま市立南浦和中学校で、バドミントン部に所属する1年生男子生徒が昨年8月26日、夏休み中の部活に向かう途中で自殺。それから1年近い時間をかけて、大きな問題に発展することになりました。(参照:
“自殺中1遺族「部活顧問が原因」 市の教育委が第3者委設置へ”|FNN)
報道によると、中1生徒はバドミントン部の男性顧問から、複数回に及ぶ不適切な指導を受けていたとあります。詳細についてはまだ調査中でわからないことが多いのですが、それでも「胸ぐらをつかむ」といった暴行の他、「頭が悪い」「やりたくておまえらの顧問やってるわけじゃねえ」「お前、存在する意味あるのか」といった人格を否定するような暴言が複数見られたとありました。
2018年5月、つまり、生徒が自殺してしまう3か月前、学校が行った体罰に関するアンケートで「当該部活顧問から胸ぐらをつかまれた」などの暴行に遭った生徒4人から被害報告がありました。一般に、スポーツの指導者は、少しばかり荒い指導をすることがあります。そのような指導であっても、生徒は「気合を入れてもらった」と前向きに解したり、自分のことを想っての熱血指導だと納得した上での厳しい指導を受け入れることもあるのですが、この学校で起こったのは、やはり理不尽な、行き過ぎた指導だったのでしょう。
「体罰の有無を問うアンケート」で、暴行や暴言を証言しているころから察すると、スポーツの指導という名目では限度を超えた理不尽な指導であったことが想像できます。このアンケートを受けて、顧問は保護者会で謝罪しつつ、その後も同じバドミントン部の指導を続けています。そして7月には保護者会から顧問の交代を要望されていたのにも関わらず、8月に生徒が自殺してもなお、年が明けた今春まで顧問だったといいます。
私たちはこうした体罰を繰り返す教師を「リピーター教師」と呼ぶことがありますが、教育の名の下に行う体罰は、優れた指導力と誤信してしまうことから起こります。そして厳しい指導という名の体罰がこの顧問のストレスの捌け口だったのではないでしょうか。